HOME 読みもの 種苗審査会 第64回 野菜・花き種苗改善審査会 インパチェンスの部 種苗審査会 第64回 野菜・花き種苗改善審査会 インパチェンスの部 インパチェンス種苗改善審査会 公開日:2022.12.13 2022年6月7日、東京都農林総合研究センター立川本場ガラス温室にて、東京都種苗会主催、第64回野菜・花き種苗改善審査会「インパチェンス」の部が開催された。参考出品を含む11品種について、3月下旬播種、6月上旬出荷の作型における花色や花径、草姿、生育揃いなどの特性について審査が行われた。 東京都種苗会の三好理事長から開会の挨拶:「東京都園芸技術科の先生方におかれましては、播種から審査会の本日まで、特に例年以上に天候の変化でご苦労があったのではないかと推察いたします。ありがとうございました。インパチェンスは、数年前にべと病が蔓延いたしまして、だいぶ生産出荷数が減ったと認識してますが、ここ最近、べと病耐性の品種も続々出てくる兆しがございますので、将来に期待できる品目です。今日は、半日となりますが、厳正な審査をお願い申し上げます」 栽培概要 播種・鉢上げ・追肥:2022年3月29日に市販播種用土(商品名: TM-2) を充填した288穴セレトレイに11品種を播種し(2反復,覆土なし), 22℃発芽器で管理した。全体に発芽がみられた4月2日にバーミキュライトで覆土した。4月19日の展開葉が2枚時に3・5号黒ポリ鉢へ鉢上げした。赤土:腐葉土:ピートモス= 5:3:2(容積比)を使用し,基肥として用士100LあたりN:58g、P2O5:158g、K2O5:54gを被覆肥料、過リン酸石灰で施用した。追肥として、5月16日に粒状肥料(商品名:スーパーIB 1 g/鉢)を施用した。 温度管理:発芽処理は22℃の発芽器で行い,芽が確認できた時点でガラス温室へ移動した。育苗および鉢上げ後活着するまではガラス温室内で管理し,側窓は換気温度20℃で管理した。 病害虫防除:4月19日 アルバリン粒1g/鉢。4月27日 ディアナSC 2500倍・オルトラン水和剤1000倍・ダコニール1000FL 1000倍。5月12日 カウンター乳剤2000倍・サンヨール乳剤500倍。 その他:適宜萎ちょうした花に対してのみ、花がら摘みを行った。日射センサーの故障により遮光資材が展張されず、連休後(5月9日)上位葉の一部に葉焼けのような症状がみられた。 生育の概要 早い品種で播種後2日目から発芽が確認された。セル育苗時、鉢上げ後ともに高温の影響でやや徒長ぎみであったが、生育が停滞することなく順調に進んだ。最も早い品種で第一花開花日が5月13日、遅い品種で5月20日であった。 審査成績 Ⅰ等級 1位 F1ロリポップ バブルガムピンク/タキイ種苗(株)関東支店 Ⅰ等級 1位 F1ロリポップ バブルガムピンク/タキイ種苗(株)関東支店 Ⅰ等級 1位 F1ロリポップ バブルガムピンク/タキイ種苗(株)関東支店 Ⅱ等級 2位 F1ロリポップ フルーツパンチローズ/ タキイ種苗(株)関東支店 Ⅱ等級 2位 F1ロリポップ フルーツパンチローズ/ タキイ種苗(株)関東支店 Ⅱ等級 2位 F1ロリポップ フルーツパンチローズ/ タキイ種苗(株)関東支店 Ⅱ等級 2位 F1ロリポップ フルーツパンチローズ/ タキイ種苗(株)関東支店 Ⅲ等級 3位 ビーコン ローズ/(株)ミヨシグループ Ⅲ等級 3位 ビーコン ローズ/(株)ミヨシグループ Ⅲ等級 3位 ビーコン ローズ/(株)ミヨシグループ Ⅲ等級 3位 ビーコン ローズ/(株)ミヨシグループ 左から、F1ロリポップ バブルガムピンク/F1ロリポップ フルーツパンチローズ/ビーコン ローズ 審査講評 東京都農業振興事務所振興課 上原恵美氏 花が大きく、花色も非常に鮮やかな品種が入賞したという印象を受けた。出品されていたどの品種もやや徒長してしまっていたのが残念であった。栽培途中の天気が目まぐるしく変わり、葉焼けなどのトラブルもあったようだが、そのような環境下でも一生懸命管理されていた。 東京の花壇苗全体の生産量は、現在1,000万鉢を割り込んできている。この数字は、10年前に比べて2割ぐらい減少しており、個々の品目も同様に減少していると考えられるが、インパチェンスの生産量は、半分以下の約37%に減少している。 この原因は、審査会の冒頭に三好会長がお話しされたべと病の件以外にも、東京の夏が非常に暑くなってきていること、また雨にも弱かったということもあり、そういった育て難さが消費者や生産者に印象付いてしまっていることもあるのではないかと推測している。 しかし、最近の品種は夏の暑さにも雨にも強く品種改良されており、さらに八重咲きやバラ咲きのようなとても可愛らしい品種もある。種苗会社がインパチェンスの弱点を改良していると実感している。今後は、生産者や消費者に改良点を上手にPRし販売に活かしていただくと、インチェンスが夏の商材として再認識され、生産量が増えていくのではないかと思う。 最後に、種苗会社様へのお願いだが、生産者は苗よりも、種子で供給された方が栽培に取組やすい。優良な品種を種子で供給していただけるとありがたい。 取材/御園英伸 この記事をシェア 関連記事 2022.12.26 第64回野菜・花き種苗改善審査会「夏まきダイコン」の部 開催 令和4年10月21日(金)、東京都農林総合研究センター立川本場にて、第64回野菜 […] ダイコン種苗改善審査会 2022.12.20 第64回東京都野菜・花き種苗改善審査会 秋まきコマツナの部 2022年10月11日、東京都農林総合研究センター江戸川分場にて表題の審査会が開 […] コマツナ種苗審査会