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種苗審査会

第64回東京都野菜・花き種苗改善審査会 秋まきコマツナの部

公開日:2022.12.20 更新日: 2022.12.22

2022年10月11日、東京都農林総合研究センター江戸川分場にて表題の審査会が開催されました。今回は参考出品2点を含む23点が出品。立毛審査、収穫物審査の合計により審査が行われました。

立毛審査の様子。
収穫物審査の様子。

耕種概要

(1)供試圃場 江戸川分場赤土客土UVカットハウス2棟
(2)施肥 10a当たりN、P2O5、K2Oを成分量で各7−5−5kg(全量基肥)
(3)区制 1.75㎡の2連制(1区当たり2.5mの200株/区)
(4)播種 9月16日
(5)栽植距離 ベッド幅70cm、条間14cm、株間5cmの4条播き(1穴2粒播種)
(6)間引き 9月22日(播種6日間後)に1穴1本に調整
(7)温度管理 ハウスの妻面およびサイド面は防虫ネット展張の上、終日開放とした。
(8)潅水 9月16日(播種時)、10月5日の計2回
(9)病害虫管理 サイド、出入口に1mm目合いの防虫ネット
4~5月 土壌消毒 ダゾメット粉粒剤、ガス抜き2回
播種時 フォース粒剤      4kg/10a
9月21日 アニキ乳剤       1000倍
9月28日 ディアナSC  2500倍
10月8日 アルバリン顆粒水溶剤  2000倍
ランマンフロアブル    2000倍

生育経過の概要

(1)生育初期は台風14号の接近などにより曇雨天が多かったが、生育中期である9月第6半旬、10月第1半旬は晴れ間が見えた。気温は10月第1半旬までは平年よりやや高く推移したが、10月第2半旬は曇雨天となり、気温は平年を大きく下回る推移を示した。
(2)発芽試験は濾紙を敷いたシャーレ内に50粒播種で2反復実施した。No.9を除く全系統で90%以上の発芽率を示した。本圃では、播種後3日目に発芽がはじまり、播種後6日目には全系統で99%出芽しており発芽揃いとなった。なお、No.9はシャーレにおける発芽試験では57%の発芽率であったが、本圃では1穴2粒で播種したため、99%の出芽率となった。
(3)病害虫の発生は、生育初期にキスジノミハムシの被害が発生したが、薬剤防除により適切に処理をした。また、立枯病が一部で発生した。
(4)本審査日は、播種日から起算して25日目に当たる。

I等級 1位 N-006 カネコ種苗株式会社
立毛点数81.60 収穫物点数173.93 合計255.53

Ⅰ等級 1位 N-006 カネコ種苗株式会社

II等級 2位 いなむら 株式会社 サカタのタネ
立毛点数83.53 収穫物点数170.13 合計253.66

Ⅱ等級 2位 いなむら 株式会社 サカタのタネ

II等級 3位 C9-055 株式会社 サカタのタネ
立毛点数82.87 収穫物点数169.47 合計252.34

Ⅱ等級 3位 C9-055 株式会社 サカタのタネ

Ⅲ等級 4位 C1-060 株式会社 サカタのタネ
立毛点数83.20 収穫物点数167.47 合計250.67

C1-060 株式会社 サカタのタネ

Ⅲ等級 5位 K-38 株式会社 日本農林社
立毛点数82.20 収穫物点数166.67 合計248.87

K-38 株式会社 日本農林社

Ⅲ等級 6位 MSX-1288/里のなつ 株式会社 武蔵野種苗
立毛点数82.53 収穫物点数166.13 合計248.66

MSX-1288/里のなつ 株式会社 武蔵野種苗

審査講評

東京都農業振興事務所 西村修一氏

栽培期間中の天候は曇天日が多く、やや徒長気味だが品種間差がよく出ている審査会となった。収穫物審査では品種ごとに草姿、草丈、葉色、株張り、揃い、根の様子が見やすく、審査する上で非常に参考になった。上位入賞したものは草姿が立性で、株張りや揃いが良く、収量性の見込めるものが入った。今回は慣行品種も入っているので、今日の結果は今後の品種選定に当たり大いに役立つと思われる。今後も作りやすい品種の提案をお願いしたい。

閉会の言葉

江戸川分場 星秀男氏

各種苗会社の皆様にはたくさんの品種をご提供いただき、実りある素晴らしい審査会となった。前回は梅雨時の猛暑の審査となり今回も曇天が続き天候に恵まれたとは言えないが、そうした異常気象が日常になりつつある今、我々としても従前の栽培技術だけではなく新しい栽培技術を積極的に開発していかねばならない。今後とも関係者の皆様で協力して進めていければと思う。

主催/東京都種苗会
資料提供・取材協力/東京都農林総合研究センター 江戸川分場
取材・文/丸山純

 

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