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2022年秋季 タキイ研究農場見学会リポート【レタス・タマネギ編】

公開日:2022.12.31

2022年11月17日に滋賀県湖南市にあるタキイ種苗(株)研究農場にて、タキイ研究農場見学会が開催された。品目別に分けてお伝えする今回は、レタス・タマネギ編。

病害抵抗性がレタス育種のカギ

例えば、レタスの大産地の長野県では全面マルチをするので、レタスの後作レタスの二毛作や、ハクサイの後作でレタスの二期作をする。そうした場合、どうしても生産者は多めに施肥をする傾向にあるそうだ。すると、2回戦目のレタスはどうしても土壌病害に対して抵抗性が必要となり、育種のターゲットとなる。
そのような流れの中、レタスにおいて地上部の問題は、腐敗病や斑点細菌病である。最近は、どの作物でもそうだが、地球温暖化の影響かべと病がまん延している。そういった病害に強い品種が育種のターゲットになり、産地のニーズにもなってくる。

リーフレタス フレアルージュ NEW 冷涼地の夏どり、中間地・暖地の秋どり、春どりに最適

鮮赤色で耐病性にすぐれる、極晩抽レッドリーフ。高温条件でも、葉先が濃赤色に安定して着色する。葉も厚く立性なので、葉折れが少なく、作業性がよく、ゴミも出にくい。

高温条件でも、葉先が濃赤色に安定して着色。晩抽性が安定する。さび症や肋のアントシアン着色の発生が少ない。根腐病、斑点細菌病に強い。

病気に強いことがリーフレタスにも言える。耐病性はもちろん、雨が降った時に葉が傷まない、雨の後に萎れないなど、耐候性の中でも特に耐雨性が強い方向性で育種をすすめたそうだ。また、アントシアンは、雨が多く、気温が高い場合、色味が付きにくい。サニーレタスにおいて色味は非常に大切になるので、高温多雨な状況でも着色が安定している品種であることが品種『フレアルージュ』の特徴である。もう一つ、『フレアルージュ』は草姿が立性になっています。草姿が立っている方が収穫しやすく、ダンボールに収めやすいので、作業性に優れているといえます。また葉が肉厚でしなやかな葉質であることからは俺が少なく、2毛作の後作を始める前、地上部を掃除する際、『フレアルージュ』であるとゴミが少ないそうだ。

中間団地向け:リーフレタス品種使い分け
冷涼地向け:リーフレタス品種使い分け

リーフレタス グリーンサンバ NEW

夏取り品種。べと病と根腐病レース1・2・3に複合耐病性の晩抽グリーンリーフ。導入のメリットは、中晩性にすぐれ、斑点細菌病にも比較的強いので、高温期の作付けでも収量が安定しやすい。草姿立性で、形状も安定しやすいので、葉折れが少なく、収穫調整がしやすい。

リーフレタス グリーンブーケ NEW

春秋取り品種。べと病と根腐病レース1・2・3に複合耐病性。斑点細菌病に比較的強い。ボリュームがあるうえに、形も崩れにくいので箱詰めしやすく、出荷作業の効率が向上する。

アントシアニンが豊富で、着色が美しい中早生赤玉 タマネギ ケルたまルビー NEW

アントシアンが豊富で安定して濃く着色する。また、外皮色だけでなく、内皮色の発色も安定している。梅雨入り前の収穫・出荷が可能。またポリフェノールの一種であるケルセチンが含まれている。品種名の『ケル』がそのケルセチンから来ている。

収穫適期は5月中旬~下旬。梅雨入り前の収穫・出荷が可能。抽苔や分球の発生が少ない。播種・定植は中生種に準じるそうだ。
画像右:ケルたまルビー。外皮色だけでなく、内皮色の発色も安定している。
苗販売でも、着色が一目でわかり、販売しやすい。

取材協力/タキイ種苗(株)広報出版部

取材/御園英伸

 

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