農耕と園藝 online カルチべ

生産から流通まで、
農家によりそうWEBサイト

お役立ちリンク集~カルチペディア~
なるほど園芸用語

ぶくミカン(浮皮症)

公開日:2023.1.23

温州ミカンの果肉と果皮の間に隙間ができて、果皮だけが浮いたようになったものをミカンの「浮皮症」あるいは「ぶくミカン」、ぶくぶくなどと呼ぶ。ぶくミカンは貯蔵や輸送の際に圧迫されて傷つきやすく、内部が腐ることが多い。また果実の割合に対して果皮が多いので呼吸による養分の消費が大きいうえに、果皮が水分を吸収しやすいため貯蔵には向かない。
浮き皮は果肉と果皮の間の発育の差に原因し、果肉の発育が止まった後になお果皮が発育する場合に、果肉と果皮の間が広がって空隙になり果皮が浮いたようになる。
浮き皮を発生させる条件としては樹勢が強い場合、秋から冬にかけて高温多雨な場合、チッ素肥料が多く特に秋になって遅効きする場合、カラタチ台よりユズ台の場合が挙げられる。その中でも特に秋の降雨の影響が大きいとされる。四国や九州などの温暖な地方で生産されたミカンにぶくミカンが多いのは、これらの自然条件が重なっているためと考えられる。
浮き皮を防止するにはチッ素肥料を制限すること、特に遅効きする恐れのある夏肥をやめたり制限することが行われる。また系統によって発生が異なり、出にくい今村・杉山・山口系を選ぶ。また、浮き皮にならない早いうちに収穫する。そのほか実験的にはジベレリン散布が有効とされるが、まだ実用的ではない。
なお、ぶくミカンは温州ミカンのほか、ポンカン・紀州ミカン・タンゼリンでもみられる。

この記事をシェア