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挿し木の黄化処理

公開日:2023.3.20

挿し木で発根不良な木本性植物において、挿し穂採取前に母本上で挿し穂の発根部に相当する部分を遮光して黄化させ、発根を促進する方法を「黄化処理」という。黄化処理した挿し穂をさらにオーキシンで処理すれば発根促進の効果はいっそう高まる。一般に落葉樹で効果があるとされるが、常緑樹のチャ・ツバキなどでも有効である。
その方法は春の新芽が展開する前後に目的の植物の枝を黒ビニルなどで覆って暗黒状態にして黄化させ、新芽の伸長を図り、6~7㎝程度伸びたとき覆いを取る。続いて徐々に光に当て緑化させたのち、この新梢を切り取り、挿し木する。緑化させる際に黄化した新梢基部3㎝程度を脱脂綿で包み、その上を黒テープで巻いて黄化状態が保たれるようにすれば発根はいっそう良好である。
黄化処理による発根促進の原因は、黄化によって挿し穂の木化が抑えられ、組織的にも成分的にも若木や草本茎に似た状態となることにあると考えられる。すなわち挿し穂のデンプン含量が高く、タンニンが少なく、黄化部のオーキシン活性が高く、抑制物質が少ない傾向を示すため、発根しやすい条件になるためと考えられている。
黄化処理は労力と時間がかかるので実用的には問題があるが、発根困難なものや特殊なものの増殖には有効である。茶樹ではこの処理で発根が早まり、施肥開始が早まるので、育苗期間が短縮される。

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