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不耕起農業、カバークロップの栽培で土壌への炭素貯留を向上できる

公開日:2023.3.10

地球温暖化対策一環として、土壌への炭素の貯留を促すことを目的に、圃場を耕さずに作付けを行う不耕起農業や、土地表面を覆って土壌の流出を防ぐ被覆作物(カバークロップ)の栽培が推奨されています。ヨーロッパでは不耕起農業やカバークロップの栽培が、二酸化炭素の排出を抑えたり、二酸化炭素を大気に戻らない形で貯留したりすることで得られる「炭素排出権(炭素クレジット)」が認められるようになっています。

イラスト/坂木浩子

日本でも農林水産省が支援しているものの、モンスーン気候故に雑草が繁茂しやすい環境で不耕起農業は普及していません。そこで茨城大学の研究グループは不耕起農業やカバークロップを栽培することの効果を調べる研究に取り組みました。

同大学の附属農場に炭素貯留の観測サイトを設置し、2003年から2008年まではオカボを、2009年からはダイズを栽培して、耕うん、カバークロップの有無で炭素貯留や土壌中の微生物の変化を調べました。その結果、不耕起あるいは冬季にライムギを栽培すると、プラウ耕を行い、裸地にした場合に比べて炭素貯留、生物多様性が向上することが明らかになりました。

こうして不耕起農業、カバークロップの栽培で地球温暖化対策に貢献する可能性が示されました。今後は土壌中の炭素貯留を維持したまま、農作物の生産性を維持、向上させていく農業技術の開発が求められます。

文/斉藤勝司

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