HOME 読みもの アグリニュース 数カ月で樹木の花を咲かせる方法を開発!? アグリニュース 数カ月で樹木の花を咲かせる方法を開発!? ポプラ開花ゲノム編集 公開日:2023.4.21 野菜の品種改良では、望んだ特徴をもつ品種ができたかどうかは、ふつうは1年以内に確認できます。なぜなら、芽生えから結実までのサイクルが、たいていは1年以内だからです。ところが、樹木の場合、成長して結実するまでに、数年~数十年を要するので、品種改良には長い時間がかかるという課題がありました。 イラスト/坂木浩子 このほど、ジョージア大学(アメリカ)などの研究グループは、ゲノム編集技術を活用して、ポプラの開花に関わる遺伝子を編集して、開花が始まる時期を約7~10年から3~4ヵ月に早め、1年に及ぶ花の形成期間を数日に短縮することに成功しました。 この研究で材料として着目したのはポプラです。ポプラは、バイオエネルギーの木質バイオマス作物として期待されていて、すでにゲノム解読が完了しています。この研究では、それらの情報が利用されました。そして、開花の開始を遅らせる CENTRORADIALIS (CEN) 遺伝子の働きを抑えることで、開花を早めることに成功しました。この研究は、樹木がどのように花を発達させるかについても、新たな研究への扉を開くものと期待されます。 さらに、MYBという遺伝子群をゲノム編集したところ、種子の綿毛が減ることがわかりました。ポプラの種子につく綿毛は空気中のアレルゲンのキャリアーであり、健康被害をもたらすことがあるため、この発見は将来的にアレルギー対策に役立つ可能性があります。 今回の画期的な技術によって、樹木が花を咲かせるまでの時間が短縮されると、対照実験を行いながら、関心のある形質をより迅速に評価することができるようになります。例えば、乾燥に強い、高い気温に強いといった特徴を、より短い期間で調べられるようになり、樹木の品種改良が効率的に進むと期待されます。 文/保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2023.6.9 ネオニコチノイド系殺虫剤の作用研究を通じて、薬物活性の常識が覆される 世界中で広く使用されているネオニコチノイド系殺虫剤は、昆虫の神経細胞にあるニコチ […] ネオニコチノイドα2サブユニット作用の解明殺虫剤薬物活性 2023.6.2 雄株に比べて雌株のほうが 太いアスパラガスを収穫できる 近年、太いアスパラガスが好まれるようになっており、市場では太いアスパラガスが高値 […] アスパラガス太い露地長期どり栽培ハウス半促成長期どり栽培伏せ込み促成栽培低温遭遇時間 2023.5.31 忌避剤開発のヒントになる?! ハダニ類が芋虫の足跡を避けることを発見 安定して農作物を生産するためとはいえ、化学農薬を使い続けていれば、耐性を持つ害虫 […] ハダニ芋虫足跡忌避剤