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【関東 切り花】カラー

公開日:2023.4.14
(画像/photolibrary(https://www.photolibrary.jp/))

 

カラーの切り花はとても個性的な花だ。漏斗型の形状をした花(実際には苞(ほう)という部位)が頭頂部にあり、茎はほっそりとしなやかで、通常、出荷時には葉はついていない。その独特のフォルムのため人工物のようにも思える。

 

流通するカラーは、植物分類的には、比較的大きく湿地に生えるものと、比較的小型で畑地に生えるものの2タイプがある。年末から春先は湿地性のものが多く、畑地性のものは周年流通するが、初夏から秋口までの流通本数が多い。また、輸入品の流通もある。畑地性のカラーは色バリエーションが豊富で、色相環で分類すれば青系がないだけで残りの色味はほぼ網羅している。

 

 

カラーの形状が直線的であることから、昨今の草花のバーティカル(直線的)トレンドからすると引き合いは強い。弊社の分析では、品薄なポジションにいるアイテムだ。

ここでカラーに関する興味深いサイト(https://simplycalla.com/inspiratie/)を紹介したい。こちらは、海外のサイトで「シンプリーカラー」という。オランダ発のカラーのプロモーションサイトで、カラーを使った様々なデザインが一覧でき、見ていてとてもワクワクする。スモークグラスやグリーンスケールのような今風の草花との組み合わせや、オーソドックスなラウンドブーケの画像もあり、誰が見てもインスピレーションを刺激される。

現在、世界中の花き業界で商用デザインの幅が広がっている。素材として野の花やグラミネ類(観賞用イネ科植物などの総称)を多用するケースが増えているからだ。従来は見かけない組み合わせが増えていると思われるが、ゼロからデザインを発想するのも大変だ。そこで前述のサイトでは、参考となるような様々な花束デザインでのカラーの使われ方が示されている。

また、カラーはシリカゲルを使うことで流行りのドライフラワーにも加工できるようだ。筆者は現物を見たことがないのだが、新しいマーケットにも向かっているのだ。

最後に触れておきたいことがある。最近出版された『東京植物図譜の花図鑑1000』(東京植物図譜・小池安比古監修 日本文芸社刊 2023年)という書籍のカラーページを調べてみたところ、同じサトイモ科の植物で日本の山中で見かけるムサシアブミ(マムシグサの仲間)がカラーのページに掲載されていた。カラーという分野で草花トレンドを追求したら野趣あふれる素材を日本の山野で再発見した、ということだろう。フローリストが次のカラーに求めているひとつの姿を見たようで興味深いと思った次第である。

 

 

著者プロフィール

桐生 進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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