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トマトの尻腐病(しりくされびょう)

公開日:2023.5.27

トマト果実の花落ちの部分が水浸状となり多数の小黒点ができ、さらに進むとその部分が腐って黒褐色となり、乾燥してへこんでくる症状を示す生理病を「尻腐病」という。
尻腐れは、早いときは果実が親指大になることに現れ、果実の肥大が急になることから発生が多くなる。

その発生の原因はカルシウム(Ca)欠乏にあるといわれている。Caは茎葉に高い割合で含まれても果実へ移行することが少なく、果実中の含量は0.2~0.4%であり、これが0・15%前後より少なくなると尻腐れを発生しやすい。これはCa欠乏になると、細胞と細胞をつなぎ合わせているカルシウムペクテートが不足して組織が壊れるためといわれる。

土壌の過湿と乾燥、チッ素やカリの施用が多いとき、また肥料要素の濃度が高く土壌溶液の浸透圧が高くなることなどによりCa吸収が低下し、尻腐れが発生する。また高温や乾燥が続くと茎葉に有機酸が多く作られ、これとCaが結びついて果実への移行が少なくなることも原因すると考えられる。

そのほかアンモニア・カリ・マグネシウムなどの成分が多いとCaの吸収が抑えられ、尻腐れ発生の原因となることもある。また、Caの絶対量が土壌中に不足したときより、土壌塩類濃度に対するCa濃度の割合が少ないとき発生する。
尻腐れ発生の恐れがあれば、直接的な措置として塩化カルシウムの0.5~0.6%液を、果実が親指大になった頃から7~10日ごとに幼果やその近くの葉に散布するとよい。

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