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ウインドマシン

公開日:2023.9.10

地表上空を寒気流が覆うときは地表面からの放熱が大きくなり、地表周辺の気温を低下させ、上層に向かうにしたがい気温の上昇する現象を生じる。これを気温の逆転といい、逆転相は地形や他の気象要素(特に風・湿度)により異なるが、普通30~60mの高さまでであるといわれる。この逆転相があるとき、送風機を回して上層の暖かい空気と地表の冷たい空気をかき混ぜ、地表周辺の温度を高めることにより、果樹園の寒害を防ぐ方法を送風法といい、この送風機を「ウインドマシン」という。したがって、温度の逆転程度が弱いときは効果がなく、地上から15mくらいまでに強い逆転があり、かつ微風のときに有効である。

アメリカ・カリフォルニア州のカンキツ園では、10~20馬力のウインドマシンを1000haに1基必要とし、大型より小型のもの数基を用いる方が能率が良いとされている。また、ウインドマシンとヒーターを併用することにより防寒効果が上がり、別々に使用するより20~30%効率が良く、経費も数十%安くなる。ウインドマシンを回し始める温度は、7馬力以下のものでは1.7℃で、7馬力以上では0℃とされている。
送風法は静岡県のカンキツ園で行われているが、燃焼法との併用でも気温の逆転が1℃くらいだと効果が小さい。アメリカではかなり強い逆転相を生じるが、日本ではそれほど強くない。これは、地形が複雑で局地気象が入り組んでいるうえ、斜面が多く下降風との関係もあるためと考えられる。

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