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人工受粉

公開日:2023.7.10

人手や機械の助けを借りて、人工的に花粉を雌しべにつけることを「人工受粉」という。虫媒花では、天候のよいときは昆虫の活動が盛んで飛来昆虫の数も多く花粉の媒介を行うが、低温・強風・雨などの天候不良の場合は昆虫の活動がなく、充分な受粉が行われない。
さらに今日では、農薬の著しい殺虫力と普及により花を訪れる昆虫が激減し、もはや果樹栽培ではかつてのように放任したままでは満足な受粉・着果が望めなくなっている。このためリンゴ・ナシ・カキ・モモなどでは人工受粉が大切な作業となっている。野菜ではカボチャ・メロンで行われている。

人工受粉の方法は、開花当日の花をとってきて、目的とする花の柱頭に軽くすり合わせる方法、羽毛や筆を使って受粉品種の花の花粉または、あらかじめとっておいた花粉を目的の花へ受粉する方法、受粉器を使って花粉を散布する方法がある。
後者の場合は花粉を適当な増量剤で希釈する。現在のところ、増量剤には石松子(ヒカゲノカズラの胞子)や脱脂粉乳、デンプンなどが使われている。希釈倍数はナシで10~20倍、カキで50~100倍、リンゴで20倍、モモで10倍くらいとされている。

受粉の時刻はウリ類は午前中がよいが、果樹の場合は時刻により著しい差はない。
今行われている人工受粉は労力を要するため、もっと能率の高い方法が望まれる。現在は花粉の長期貯蔵(低温乾燥下で1年間の貯蔵が可能)、花粉けん濁液の利用が検討されており、さらに花粉の調製・散布・貯蔵を行う花粉銀行の構想も考えられている。

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