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カルチべ市場動向

【関東 切り花】カンパニュラ

公開日:2023.6.6
(画像/photolibrary(https://www.photolibrary.jp/))

 

カンパニュラは3〜6月にかけて出荷のある、鈴のような形をした花が特徴的な草花だ。切り花として流通する主な種類は「カンパニュラメジューム」と呼ばれる品種で、花の色は青、白、ピンク、それから藤色がある。花は上向きに咲き、茎に対して縦に連なるようにつく。日持ちは良く、10日以上持つ。

大田花きにおけるカンパニュラの取り扱い動向は以下のグラフのようになる。

 

 

3月から流通がはじまり、最盛期が5〜6月。7月に入ると気温が上がり、品質が低下するため流通は終わる。

ここ数年で購入買参人カテゴリーに変化が見られた。大田花きの買参カテゴリーは、専門店・量販加工・仲卸・場外問屋などに分かれるが、カンパニュラ購入本数についてカテゴリー別シェアの年次推移を見ると、専門店カテゴリーのシェアが減少していた。昨今の草花ブームのなか、首都圏の専門店ほど線の細い花径が小さく多数の花をつけるような商品を仕入れる方針を出していると思われる。

カンパニュラも専門店向けの売れ筋の雰囲気をまとっているが、線の細さ・やわらかい感じが出し切れてないと思う。一本の茎にたくさんの花がつくような草姿なのだから、どうしても茎をしっかり硬く仕上げないと開花につれて曲がってしまうのだ。

トレンドを追うのか、ボリュームを追うのか悩ましいところだが、ダブルスタンダードで構わないので両方のトレンドを追いかけてはどうだろうか。カンパニュラの仲間には日本在来のホタルブクロがあるが、これなどはまさに茎がややしなって野草の雰囲気があり、線の細さという感じについて参考になる。

一方でカンパニュラのボリューム感を評価し、購買シェアを高めたカテゴリーもある。量販店カテゴリーだ。どちらのカテゴリーが優位ということではないが、どちら向けに提案するのかという方針を立てて計画的に生産販売するよう臨みたいところだ。

最後になるが、両方のカテゴリーに提案できることもある。カンパニュラがドライフラワーに適していることだ。コスパの良い商品が期待される昨今の風潮から、カンパニュラが切り花として観賞期間が長いだけでなく、ドライにしても楽しめるという二重の楽しみを供給できる花であることをセールスポイントに加えていただいてもいいのではないか。

生花とドライとをまったく別物のように販売している売り場が多いが、この生花がドライフラワーになるとこうなる、というような見本を提案することでお客さんの注目回数を増やすことができるのでは、と考えている。

 

著者プロフィール

桐生 進(きりゅう・すすむ)
株式会社大田花き商品開発部を経て2009年から花の生活研究所所長。
花きのトレンド、物流効率化など幅広い分野を研究。
毎年、花き業界のマーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作し発売している。

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