HOME 読みもの アグリニュース 希少種の保全や作物への応用に期待!! カルスを誘導する新規の化合物を発見 アグリニュース 希少種の保全や作物への応用に期待!! カルスを誘導する新規の化合物を発見 PLUカルス植物ホルモン 公開日:2023.7.7 更新日: 2023.6.12 植物では、葉や茎などの細胞をカルスという細胞の塊にして、再び個体を再生させることができます。自然の中では、カルスは主に傷害を受けたときの修復に役立ち、器官再生のための多能性を獲得する場として機能することがあります。オーキシンとサイトカイニンといった植物ホルモンの濃度を調整した培地を使えば、人工的にカルスを作りだし、さらに葉や茎を再生させることができます。この手法は、基礎的な研究から農業への応用まで、広く利用されています。しかし、多くの植物種でカルスを誘導するには、種ごとに植物ホルモンの量や比率を変える必要があり、時間や労力がかかるという課題があります。 このほど、名古屋大学などの研究グループは、モデル植物のシロイヌナズナを使った研究で、個体再生能力をもつカルスを誘導できる新規化合物を発見し、PLU と名づけました。この成果は国際的な科学誌「Frontiers in Plant Science」に掲載されています。 イラスト/坂木浩子 今回の研究では、新規化合物 PLU で培養した植物断片から、植物個体を再生させることに成功しました。詳細な解析から、PLU は従来法とは異なるしくみでカルスを生みだすこともわかりました。これにより、従来のように植物ホルモンの混合物を用いなくても、培地に PLU だけを加えればよいことになります。 さらなる研究により、様々な植物に利用できる効率のよいカルス作成法が開発されると期待されます。さらに、希少種の保全や、種子の採取に時間のかかる園芸品種や作物のクローン増殖などにも活用できると期待されます。 文/保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2024.4.6 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編) 去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われ […] 獣がいフォーラム獣害 2024.4.5 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(前編) 生産者が丹精を込めて栽培しても、収穫前に野生動物に農作物を食べられては、すべての […] 獣がいフォーラム獣害ヒグマ対策 2024.4.4 第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~ 2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催 […]