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花が咲かないキャベツでわかった!! キャベツの開花を強く抑えるメカニズムを解明

公開日:2023.6.23

キャベツは世界中で広く栽培されている野菜です。葉などを収穫するキャベツでは、花芽がつき、花茎が伸びる(抽苔)と野菜としての価値が損なわれます。そのため、花芽がつきにくい晩抽性品種の育成が求められます。ところが、晩抽性品種では、交雑育種や種子生産の効率が低くなるため、晩抽性に関する育種材料や知見が限られています。

そこで、京都大学の研究グループが注目したのが、開花しないキャベツ「不抽苔」です。この突然変異体は1978年に発見されました。通常のキャベツが開花する条件でほとんど開花せず種子が実らないため、発見から45年もの間、挿し木で維持されてきました。

イラスト/坂木浩子

このほど、キャベツ「不抽苔」を材料に、遺伝情報を詳細に調べた結果、開花を強く抑える原因として、2種類の花成抑制遺伝子が常に高いレベルで発現していることが関わっているとわかりました。この成果は、国際誌『Theoretical and Applied Genetics』に掲載されています。

研究の結果、通常のキャベツ品種では、これら2種類の遺伝子の発現量が10月から1月にかけて徐々に低下し、開花期の4月になると花成促進遺伝子の発現が上昇することが確かめられました。その一方で、‘不抽苔’では これら2種類の遺伝子の発現量が常に高い状態で、花成促進遺伝子の発現が上昇しないことが判明。このしくみにより開花しなくなっていると研究グループでは考えています。

今回の成果は、キャベツが花芽をつけやすい春先にも、安定生産が可能な新品種の開発につながると期待されます。

文/保谷彰彦

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