HOME 読みもの アグリニュース 植物の復活には「奇跡の遺伝子」ではなく、多くの遺伝子が関わっていた! アグリニュース 植物の復活には「奇跡の遺伝子」ではなく、多くの遺伝子が関わっていた! クラテロスティグマ復活植物奇跡の遺伝子 公開日:2023.9.1 更新日: 2023.8.24 復活植物はアフリカ、アジア、オーストラリア、南米に分布し、季節的または周期的に乾燥する環境で生育します。復活植物とは、干ばつなどで完全に乾いて枯れたようになった後でも、ほんの少しの水で回復する能力を持つ約200種類の植物種の総称です。何カ月も水なしで生き延び、一時的に降った雨だけで再び緑色に復活しますが、そのしくみはよくわかっていません。 このほど、ボン大学(ドイツ)とミシガン大学(アメリカ)などの研究グループは、この現象はたった1つの「奇跡の遺伝子」によるものではなくて、遺伝子のネットワーク全体の結果であって、じつは、より乾燥に弱い植物にも存在する遺伝子が活躍していることを発見しました。 イラスト/坂木浩子 この研究で材料に選ばれたのは、復活植物の1種であるクラテロスティグマ属の植物(Craterostigma plantagineum)です。染色体を8セットもつ複雑なゲノムを解析して、乾燥耐性のもとになる遺伝的要因を調べました。 その結果、乾燥耐性に関連する遺伝子の一部が多数複製されていることがわかりました。たとえば、ELIPsという遺伝子は、干ばつに強い種に多くのコピーが存在することが知られていますが、この植物には200個近いELIPs遺伝子のコピーがあり、水不足になると発現量が高まることがわかりました。 乾燥に弱い植物にも、ふつうELIPs遺伝子が存在しますが、そのコピー数は少ないことがわかっています。つまり、乾燥に強くなるのに必要な遺伝子はどの植物にもあることから、大多数の植物が遺伝子のコピー数を増やせば乾燥に強くなれる可能性があると研究グループでは考えています。今回の成果は干ばつに強い作物の育種につながると期待されます。 文/保谷彰彦 この記事をシェア 関連記事 2024.4.6 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編) 去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われ […] 獣害獣がいフォーラム 2024.4.5 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(前編) 生産者が丹精を込めて栽培しても、収穫前に野生動物に農作物を食べられては、すべての […] ヒグマ対策獣がいフォーラム獣害 2024.4.4 第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~ 2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催 […]