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イチジクの油処理(オレイフィケーション)

公開日:2023.11.15

イチジク果実の成熟を促進するために果頂部の目にオリーブ油やその他の動植物性油を塗ることを「油処理(オレイフィケーション)」という。処理の時期は果皮が緑色から黄緑色になり、目の部分が淡桃色から赤桃色になり、果実内部の小果が赤桃色に変わった頃とされる。品種「桝井ドーフィン」では横径34mmぐらいのときに相当する。

イチジク果実の生長は初期の肥大に続いて肥大停止する時期があり、その後再び急速に肥大し成熟する、いわゆる二重のS字型を示す。この肥大停止期の後半が油処理の適期にあたっている。
油処理すると約6日後に成熟するが、自然成熟ではこれより1~2週間遅れる。油処理で成熟した果実は大きさ、糖や酸含量、着色の程度など自然成熟果と差はない。そのためわが国では早期出荷の有利性から油処理を行うことが多い。

油処理の成熟促進効果は動植物性油で認められ、鉱物油では著しく劣るので、この成熟効果は油の化学的性質が関係していると考えられる。

油はグリセリンと脂肪酸のエステルであるが、このうち脂肪酸とグリセリンの単独処理では脂肪酸で効果が認められる。脂肪酸のうちでも二重結合の多い不飽和脂肪酸で効果が高い。また、酸化した脂肪酸の効果が高いことから、油処理によるイチジク果実の成熟促進は、脂肪酸の酸化から生成されるアセトアルデヒドやエチレンが作用しているものと推察されている。

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