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2023年 タキイ夏季農場見学会リポート③ 【メロン レノンシリーズ】

公開日:2023.11.12

2023年7月4、5日の両日に渡り、滋賀県湖南市にあるタキイ種苗(株)研究農場にて、タキイ夏季農場見学会が開催された。品目別に分けてお伝えする今回はメロン編。

赤肉メロン品種『レノンシリーズ』

「レノンシリーズは、ハート・ウェーブそしてスターとありまして、シリーズコンセプトとしては、消費者メリットと生産者メリットと流通の方へのメリットの『三方よしのメロン品種』と個人的には言っています」。とメロン開発担当の髙橋さん。

生産者メリットは【ネットがかなり密に、そして、きれいに入り秀品率がかなり高い】。消費者メリットは【果肉が厚く、種回りにも果肉が着き、皮のギリギリまで食べられる。食味も非常に良い】。流通業者メリットは【果肉が崩れにくいので棚もち性が良く、緩やかに軟らかくなっていくので、食べ頃が長続きする】。といった、三方よし品種だ。

レノンシリーズはすべてそのコンセプトで開発されているのだ。

耐病性+強勢+高品質の赤肉メロン品種『レノンスター』

レノンスターは、その中でも特に、つる割病全レース耐病性を有している。通常、メロンのつる割病は、耐病台木を接ぎ木して対応しているのだが、農家さんによってはコストの面や接ぎ木の労力・作業の問題で、なかなか着手できない場面があるのだが、レノンスターはつる割全レース病耐性品種なので、接ぎ木の必要がなく、自根で栽培できることが、大きなメリットとなる。

「レノンシリーズの収穫時の注意点ですが、食べ頃が長続きするのですが、あまり熟していないうちに収穫してしまうと、ずっと硬いまま消費者にまでいってしまう可能性があるので、できるだけ長めに圃場に置いておいていただいた方が良いです。すぐに肉が柔らかくなることがないので、その分、圃場にて登熟を狙えるというところです。若切りに注意してください」と髙橋さん。

収穫適期には、手で示している果節位の近くの葉が、同時に茶色くなるそうだ。

収穫までの日にちは交配してから約55日から58日後で、目安は一般的なネットメロンと同じ。その他、収穫の目安として挙げられたのは「葉枯れ」。マグネシウム欠乏で葉が茶色くなり、メロンが熟してきた目安になるそうだ。髙橋さんは「作りの上手な農家さんのところに行きますと、着果節位の近くの葉が一斉に枯れ、茶色のラインをみることができます」と話していた。また果梗部へのネット上がり、花痕部のひび割れも収穫のポイントとなるそうだ。収穫時にかならず確認してもらいたい作業は「試し割り」。

「肉質ができているか、糖度が高くなってきているか、必ず確認してください」とのこと。
食欲をそそる赤肉と、可食部分の大きさ、食べごろが長いことから、今後、期待の持てる品種だ。

取材協力/タキイ種苗(株) 取材・写真/御園英伸

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