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バナナのゲノムを解読!! 品種改良への期待

公開日:2023.11.28

バナナの生産量は年間 1 億t以上に達し、世界で最も消費されている果実のひとつです。また、後発開発途上国では5番目に多く生産される食用作物でもあります。
バナナの需要は伸び続けており、より安定した生産に向けて、さらなる品種改良に期待が寄せられています。しかし、その基礎となるゲノム解読はまだ充分になされいませんでした。

このほど、中国華南植物園の研究グループは、栽培バナナのキャベンディッシュ・バナナでの参照ゲノムを公開しました。

イラスト/坂木浩子

キャベンディッシュ・バナナは、野生種(Musa acuminata)を起源とする栽培品種であり、世界のバナナ生産量の約半分を占めています。ゲノムの解析により、ショ糖、二糖、オリゴ糖の異化プロセス、ショ糖の代謝プロセス、デンプンの代謝プロセス、芳香族化合物生合成プロセスに関連する遺伝子や、果実の品質や香りに影響を与える可能性のある遺伝子ファミリーが見つかりました。

また、葯や花粉の形成に関連する遺伝子ファミリーも見つかりました。これらはキャベンディッシュ品種の単為生殖や不稔性と関連している可能性があります。さらに、キャベンディッシュ・バナナでは、野生種よりも、抵抗性遺伝子の数が非常に少ないこともわかりました。今後、バナナの病害抵抗性に関する品種改良を進めるうえでターゲットとなる可能性が示されました。今回の成果により、バナナの生物学的な研究や品種改良が進むと期待されます。

文/保谷彰彦

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