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在来作物の多様性が維持されていた!! アフリカ・エチオピアの農業

公開日:2023.12.1

エチオピアは何千年もの間、作物の栽培化と多様性の中心地でした。コーヒーやテフ、エンセーテなど、その土地の気候や条件に適した作物の多様性が豊かに保たれています。
一方、長い年月をかけて、人々の移動と交易によって、エチオピアには多くの新しい作物がもたらされました。こうした中で、導入作物により、作物の在来品種が駆逐されてしまったり、作物の多様性や回復力が低下してしまったりする心配があります。

イラスト/坂木浩子

そこで、キュー王立植物園(イギリス)を中心とした研究グループは、エチオピア高地の1300以上の農家を調査しました。この地域は作物多様性のホットスポットであり、地元に適した数百の作物種があります。
調査の結果、意外にも、作物の多様性がうまく維持されていることがわかりました。

例えば、

(1)在来作物と導入作物の栽培頻度に差は見られない (2)導入作物は在来作物とともに農場システムにうまく組み込まれている (3)農作物の多様性が高い農場ほど、導入作物も多く栽培されている (4)在来作物が駆逐された形跡はない (5)作物の多様性は数千年にわたる導入にもかかわらず安定している

といったことが明らかになったのです。
今回の研究で、エチオピアでは導入作物が在来品種をうまく補完していることがわかりました。導入作物は作物品種の多様性を減少させるのではなく、現地の作物の豊かさを増やしていたのです。

文/保谷彰彦

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