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ハエトリソウの感覚毛の遺伝子をゲノム編集

公開日:2024.1.2 更新日: 2023.12.19

ハエトリソウは、捕虫葉で獲物となる昆虫類を捕らえます。捕虫葉の表面にある6本の感覚毛は、昆虫が接触した際の機械刺激を感知します。すると電気信号が発生し、ほんの数秒のうちに2つ折りの葉が閉じて、獲物を捕らえます。その仕組みは、多くの科学者を惹きつけます。

このほど、ソーク研究所(アメリカ)などの研究グループは、ゲノム編集技術を用いて、感覚毛の機能について研究を進めました。

研究グループが着目したのは、FLYC1とFLYC2という2つの遺伝子です。これらの遺伝子は、機械刺激の感覚に関わるイオンチャンネルのタンパク質をコードしていて、感覚毛から生じる電気信号のシグナル伝達システムに関係していることがわかっています。そこで、これらの遺伝子をゲノム編集技術(CRISPR-Cas9)でノックアウト(不活性化)させました。そうすることで、これらの遺伝子が、ハエトリソウの「感覚」にどのように関係しているか、その働きを観察しようとしたのです。

イラスト/坂木浩子

その結果、FLYC1遺伝子を失っても、捕虫葉の機能は損なわれないこと、FLYC1とFLYC2の二重変異体だと、機械刺激に対する反応が低下することなどがわかりました。つまり、ハエトリソウでは獲物を捕獲するために、機械刺激の情報伝達に関わる複数のイオンチャンネルを使っているのです。こうした冗長性が感覚システムにとって重要なのだろうと研究グループは考えています。

文/保谷彰彦

 

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