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ラフレシア属植物はどれも絶滅危惧種だった!?

公開日:2023.12.8

ラフレシアは寄生植物です。東南アジアの熱帯林に生えるツル植物に寄生し、世界最大級の花を咲かせます。花は目立つのですが、葉や茎などがないので、いつ、どこで開花するのかを予測するのは困難です。国際自然保護連合(IUCN)によれば、ラフレシアの1種は深刻な危機にある絶滅危惧種に分類されています。しかし、そのほかのラフレシア属植物とその保護状況はよくわかっていませんでした。

このほど、オックスフォード大学(イギリス)を中心とした国際的な研究グループは、ラフレシア属植物42種とその生育地(主にブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ)を調査しました。

イラスト/坂木浩子

その結果、42種のラフレシアすべてが絶滅の危機にさらされていることがわかりました。研究グループは、IUCNの基準に基づき、全てを絶滅危惧種として、25種を 「深刻な危機 」、15種を 「危機 」、2種を「危急 」に分類しました。さらに、3分の2以上(67%)は地域や国の保護戦略によって保護されていないことも明らかになりました。残された個体群の多くは、農地への転換の危機にさらされており、保護されていない地域にわずかな個体しか生育していないことがわかったのです。

ラフレシアの種は分布が限定されていることが多く、生育地の破壊に対してとても脆弱です。一方、植物園でのラフレシアの繁殖は、わずかな成功例しかないため、生育地の保全が緊急の優先課題となっています。

文/保谷彰彦

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