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ビターピット

公開日:2024.1.15

リンゴの生理障害のひとつで、果実の主として中央部分から下の方にかけて発生する褐変した斑点状のくぼみを「ビターピット」という。このくぼみは果肉の2~3mmの深さに生じ、スリバチ状を呈する。苦痘病、茶星病、晩腐れなどとも呼ばれる。この症状は貯蔵中、特に高温多湿下の貯蔵で多く現れることから貯蔵病害といわれているが、収穫前にも発生することがある。

発生の多い品種は「国光」で、ついでデリシャス系(「ゴールデン」「スターキング」)、「祝」「旭」にもみられる。「紅玉」での発生は少ない。大果や未熟果に発生しやすく、そのような果実を生じる若木や強剪定の枝、チッ素過多の木で生じやすい。また、排水不良な園や多雨年に多発することが知られている。

発生の原因は基本的には石灰欠乏のためで、チッ素およびカリの多肥と苦土の高含有量がその発生を助長する。これは石灰の含有量やその有効性がチッ素・カリ・苦土などにより制約を受けるためと考えられている。

発生を防ぐには土壌中の置換性石灰を高めることが第一であり、そのため石灰を全面施用し、深耕してよく土と混ぜるのがよい。成木園で深耕施用ができない場合は塩化カルシウムか硝酸カルシウム0.5%液を4~5回、収穫1ヵ月前までに葉面散布するか、部分的に深耕して石灰を埋め込む。しかし、わが国の園の多くはチッ素の施肥過多による発生例が多く、この場合はチッ素施用を少なくすることで発生が減る。

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