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キクの冬至芽

公開日:2023.12.15

葉は順調に展開しても節間が伸長せず茎立ちしない状態をロゼットというが、キクの吸枝がロゼット化したものを「冬至芽」という。キクの吸枝は自然状態では9月下旬から発生し始め、12月中下旬の冬至になる頃、その発生が目立つため冬至芽の名がある。この吸枝は地下部の茎の腋芽が伸長したもので、さらに分枝して数を増す。地上部の茎の頂芽や腋芽がすべて花蕾になったり除去されたとき発生する。

キクの吸枝がロゼット化する原因は15℃以下の低温と短日にある。一度ロゼットとなった冬至芽は6℃以下の低温に20~30日以上あわないと、温室などに搬入して保温しても正常に伸長しない。したがって冬至芽は休眠状態にあると考えられる。冬至芽のロゼット打破に必要な低温要求度は、一般に夏ギクより秋ギクの方が大である。

冬至芽は秋ギクおよび夏ギクの促成・半促成栽培に用いる苗となるので、その苗の低温遭遇の程度が重要であり、早出し目的の秋ギクでは、早くから低温にあわされた高冷地産の冬至芽が11月下旬に購入され、12月下旬から1月上旬に温室内に定植されている。夏ギクの場合は平地産の12月中下旬どりの冬至芽で十分である。

なお、発生した吸枝が低温・短日にあわない場合はロゼット化せず、したがって冬至芽とならない。例えば夏ギクは5~6月に花芽分化し開花するため、発生する吸枝は高温長日のためすぐ伸長する。シェード栽培の6~7月咲きの場合も同様である。

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