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モモやウメに加害する外来カミキリムシの防除法を開発

公開日:2024.2.6
クビアカツヤカミキリによるサクラ被害とフラス(木くずとふんが混ざったもの)の状況            画像提供/埼玉県環境科学国際センター

クビアカツヤカミキリは成虫でも体長2~4cm程度の小さなカミキリムシですが、樹皮の隙間に産み付けられた卵から孵化した幼虫は樹木内部を食い荒らし、モモやウメ、サクラなどの木を枯らしてしまうことさえあります。自然の分布は中国、モンゴル、朝鮮半島、台湾、ベトナムなどながら、平成23年に埼玉県で初確認されて以降、平成24年には愛知県で初めてサクラの被害が発生。すでに茨城、栃木、群馬、東京、神奈川、三重、大阪、奈良、和歌山、兵庫、徳島の13都府県で発見されています。

クビアカツヤカミキリのメス           画像提供/埼玉県環境科学国際センター

 

クビアカツヤカミキリのオス          画像提供/埼玉県環境科学国際センター

こうした生息状況を踏まえ、積極的な対策が求められているとはいえ、効果的な防除を行うには、日本におけるクビアカツヤカミキリの生態を解明する必要があります。そこで森林総合研究所を代表機関とする研究グループが4年がかりの研究を実施。日本での生態の解明に留まらず、有効な薬剤、処理方法を調べ、その研究成果をもとに防除マニュアル「クビアカツヤカミキリの防除法」を森林総研のウェブサイト(https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/5th-chuukiseika12.pdf)にて公開しました。

防除マニュアルでは樹木の伐採、幼虫、成虫の捕殺などの物理的防除、有効な薬剤を使用した化学的防除などを詳しく紹介していますが、研究グループは早期に発見して、早期に駆除することが重要だと訴えています。クビアカツヤカミキリの幼虫は樹木内部を食い荒らした後、「フラス」と呼ばれる木くずとふんが混ざったものを、樹木の表面に開けた穴から押し出すので、フラスの有無によるクビアカツヤカミキリの食害を受けているかどうかを把握できるのです。

防除マニュアルを活用することにより、フラスのある樹木は速やかに伐採するなど、クビアカツヤカミキリの駆除の実施が推進されることでしょう。

文/斉藤勝司

画像提供:埼玉県環境科学国際センター

https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html

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