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外観では分からないキウイフルーツの熟度を非破壊で測定する技術を開発

公開日:2024.2.23

キウイフルーツは圃場で収穫された後、追熟を経て消費者の食卓に届けられますが、外観がほとんど変化しないため、適切に追熟できているかの判断は簡単ではありません。これまでも果実硬度計やBrix糖度計を用いて熟度を把握されてきたとはいえ、これらの測定法は果実の破壊が前提であり、測定に手間がかかるという難点がありました。
そこで名古屋大学大学院生命農学研究科の研究グループは、非破壊で、かつ迅速にキウイフルーツの熟度を測定する技術の研究開発に取り組みました。研究グループは「飛行時間分光法」と呼ばれる手法を用いて、硬さの異なるキウイフルーツに当てた光が果実内部でどのように吸収され、散乱するかを測定しました。

イラスト/坂木浩子

その結果、波長846ナノメートルの近赤外光だと、照射した光がどの程度、吸収されるかを示す吸収係数は、どの果実に対してもほぼ一定だったのに対して、光の散乱は試料ごとに特徴があることが分かりました。さらに得られた実験データを用いて機械学習を行ったところ、貯蔵中のキウイフルーツが軟化していく過程を非破壊で、精度よく評価することができました。
こうした成果が得られたことで、研究グループは今後、果実の追熟具合を測定する携帯装置の開発を提案していくといいます。また、追熟させても外観が変化しないのはキウイフルーツだけではなく、洋ナシも変化しないことが知られています。今回の研究成果を受けて、洋ナシでも照射した近赤外光の散乱から熟度を測定できるようになるでしょうし、熟度を非破壊で測定できるようになれば、果実ごとに最適な貯法期間を見出すことができるようになると期待されています。

文/斉藤勝司

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