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島根発。反収倍増 トマトの「しだれ仕立て」

公開日:2024.3.1

島根県安来市 農事組合法人 のきの郷

中玉トマトの枝を捻って垂れ下げる「しだれ仕立て」で栽培する前嶋さん。

トマトの枝を捻って垂らす

島根県でも指折りの穀倉地帯、安来市の能義(のき)平野を訪れました。「農事組合法人のきの郷」は、稲作を中心に、小麦、大豆、キャベツ、イチゴ、ナタネ等、多彩な農作物を栽培しています。中でも水稲の育苗ハウスの後作として栽培しているトマトには、ユニークな整枝法を採用しています。

トマトといえば、1本仕立てや2本仕立てが一般的。さらに長期間収穫し続ける斜め誘引やずらし誘引、オランダ型ハウスで採用されるハイワイヤー方式等、品種や作型、気候やハウスの素材や形、軒の高さに応じて、多様な枝の仕立て方があります。

のきの郷では、田植え後の6月下旬にトマトの苗を定植し、8月から12月まで、無加温で栽培していますが、その際に、島根県で考案された独特の仕立て方で栽培しているのだとか。トマトを担当している前嶋裕佑さん(25歳)に、実演していただきました。

前嶋「まず60〜70㎝に伸びた脇芽を選びます。両手で持って思い切って捻じって、主枝と脇芽を入れ替えます。すると自然に下を向くので、そのまま垂らします」

三好「ええーっ! いきなり捻じっても、折れたり枯れたりしないんですか?」

前嶋「はい。大丈夫です。枝が下向きに垂れるので『しだれ仕立て』と呼んでいます」

具体的な手順は以下の通りです。

【「しだれ仕立て」の手順】

①果房のすぐ下で60~70㎝に伸びた脇芽を手に取る。★
左右どちらかに捻じる。★
③そのまま枝を垂らし、結果を促す。★

ポイントは、伸びた脇芽を「曲げる」のではなく、しっかり「捻じる」こと。無理に下へ向けようとすると、茎が裂けたり折れてしまうので、あくまでも捻じって、枝の自重で自然に下方へ垂れるように促すのです。

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