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【関西 野菜】ニンジン

公開日:2024.2.26

ニンジンと言えば、15〜20cmくらいの長さでオレンジ色をしたものを想像する方が多いだろう。

日本にニンジンが最初に持ち込まれたのは江戸時代に入った頃で、昭和の時代になるまで長い間栽培されてきたニンジンは20㎝以上ある細長いものが主流だった。色もオレンジ色ではなく、赤いものを中心に白、黄、紫など多岐にわたっていたようだ。

原産地はアフガニスタンの辺りで、東ルートでアジアを経て入ってきたので「東洋系」と呼ばれる。

一方でオレンジ色のいわゆるニンジンは、原産地は同じくアフガニスタンの辺りのようだが西ルートでヨーロッパに渡り、オランダやフランスで品種改良されて今のような色と形のものが主流となった。

日本へは鎖国中だった江戸時代の後期に開港されていた長崎から入ってきたのが最初で、その後19世紀にはアメリカ経由でも様々な品種のものが持ち込まれたようだ。

市場をはじめとした青果業界では今でも「西洋ニンジン」と表記されるのは、東洋種と西洋種が分けられていた名残だろう。

東洋系は正月用の商材として金時ニンジンだけが今でも一般流通しているが、11〜1月の短期間のみで、他はほぼすべてが西洋系となっている。

金時ニンジンは京都をはじめとして日本の各地域で伝統野菜として残っている品種もあるが、地元で冬場だけ細々と売られているくらいで、その姿も徐々に消えつつある。甘みは金時ニンジンのほうが強いのだが、独特のニンジン臭がするので苦手な人もいる。

西洋系は日本に持ち込まれた後も品種改良が繰り返され、ニンジン臭さの少ない品種も多く生まれてきた。かつては子どもが嫌いな野菜の筆頭だったが、最近ではトップ10にも現れないこともあるくらいだ。

江戸時代の農書にも「菜園に欠くべからず」と記されていたらしく、今では生活のなかでなくてはならない存在になった。ニンジンの「キャロット」が語源となったビタミンAのもととなる「カロテン」を多く含み、緑黄色野菜の代表的な存在である。

それだけ重要な位置づけとなったニンジンなので、市場でも年中切らすことなく提供できるように産地リレーをして入荷している。

大阪市東部市場に入荷してくる産地構成を見てみよう。

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