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さらなる省力化に期待! トラクタの作業機を自動で交換する要素技術を開発

公開日:2024.2.28

農業従事者は減少の一途を辿っており、これまで通りの農業生産を維持するには、農作業の省力化が欠かせません。そのため人が操作する必要のないロボットトラクタの開発などが進められているものの、トラクタに取り付ける作業機の交換を人手に頼るようでは省力化の効果は限定的です。作業機の交換はトラクタと作業機に間に入って行うため、危険を伴う作業で、トラクタが関わる事故の約2割が作業機の交換時に発生しており、安全性を高めるためにも作業機交換の自動化が求められています。

そこで農研機構の研究グループは自動で作業機を交換する技術の開発に取り組みました。国内で販売されている作業機の多くは、農業機械工業会が定めた標準オートヒッチが装着されており、ロック機構の開放と連結、電気や油圧系統の接続を手作業で行う必要があったため、新たに開発された自動着脱用ヒッチ機構では、これらの作業を自動でできるようになっています。

イラスト/坂木浩子

またトラクタと作業機を自動でつなげるには、両者の相対的な位置、方向を正確に合わせる必要があります。従来、ロボットトラクタの位置制御には、測位技術のRTK-GNSSが広く利用されてきましたが、RTK-GNSSでの自動装着の成功率は高くても70%程度であったことから、トラクタ側にカメラを搭載。作業機側の基準マーカを検出することで、トラクタと作業機の相対位置を高精度に計測できるシステムを構築しました。

今後は開発された要素技術を搭載したトラクタ、作業機を用いて、作業機の交換だけでなく、圃場内での作業、圃場間の移動も含めて自動化したシステムの確立を進め、農作業のさらなる省力化に役立てようとしています。

文/斉藤勝司

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