HOME 読みもの アグリニュース 樹木を傷つけることなく外来カミキリムシの種類を特定する方法を開発 アグリニュース 樹木を傷つけることなく外来カミキリムシの種類を特定する方法を開発 公開日:2024.3.8 更新日: 2024.2.22 カミキリムシの幼虫は樹木に穴をあけて寄生するため、果樹に被害が及ぶと数年で枯らしてしまうことがあります。日本在来のカミキリムシだけでも果樹生産者にとっては悩みの種でしたが、近年、外来のカミキリムシによる被害が拡大しており、確実な防除が求められています。 カミキリムシは種類によって効果のある薬剤が異なり、確実に防除するには種類の特定が必要でした。成虫なら、その姿形から種類を特定することはできますが、幼虫は樹木にあけた穴に潜んでいるため、通常、その姿を見ることはできません。幼虫を取り出せば見ることができるとはいえ、樹木を大きく傷つけてしまう上、見ることができたとしても種類を特定できない場合もあり防除を難しくしていました。 そこで農研機構は樹木を傷つけることなく、外来カミキリムシの種類を特定する方法の確立に取り組みました。その際、幼虫の体表にある炭化水素成分が種類ごとに異なることに注目。樹木を食べた幼虫が糞とともに排出した木屑状のフラスに含まれる炭化水素成分から種類の特定を試みました。 イラスト/坂木浩子 外来カミキリムシ3種(クビアカツヤカミキリ、ツヤハダゴマダラカミキリ、サビイロクワカミキリ)に加えて、日本在来のゴマダラカミキリの幼虫とフラスから抽出した物質を分析したところ、幼虫由来の抽出物とフラス由来の抽出物が種類ごとに一致することが明らかになり、フラスを手掛かりに種類を特定できるようになりました。 種類の特定は樹木が異なっても可能で、今後、他の外来カミキリムシもフラスを利用して種類を簡便に特定し、迅速に防除することで被害の拡大を食い止められると期待されています。 文/斉藤勝司 この記事をシェア 関連記事 2024.4.6 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編) 去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われ […] 獣がいフォーラム獣害 2024.4.5 第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(前編) 生産者が丹精を込めて栽培しても、収穫前に野生動物に農作物を食べられては、すべての […] ヒグマ対策獣がいフォーラム獣害 2024.4.4 第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~ 2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催 […]