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島根の花き栽培実際家 別木さんの理にかなった超シンプル栽培

公開日:2024.4.3
過疎化、高齢化の波に抗わず、超シンプル栽培に挑む試別木さん。 

山間のぽつんと一軒屋で

島根県雲南市の花 別木べっき重夫さん(73歳)は、妻のすみれさんと、山間の標高370〜380mに位置する掛合(かけあい)地区で、アルストロメリアやストックなどの花きを栽培。長年トルコギキョウの民間育種にも取り組んできました。自宅前を通る道路は1キロ先で行き止まり。かつてそこに存在した集落に、今は誰も住んでいません。上空から見るとまさに「ぽつんと一軒屋」。そんな場所で栽培を続けてきました。
「温室屋さんが『こんな山奥で、しかも谷間のハウス園芸は無理だ』と笑っていました」

耕地が狭く、高低差が大きい上に、交通の便も悪い。冬は積雪が1.7mを超え、気温がマイナス10℃になる日も。積雪が1mを超えると除雪が難しくなる場所です。一方夏になるとフェーン現象が起きて蒸し暑く、冬場は午後3時にはハウスが陰ってしまう。日照不足の上、耕地が狭いため作業ロスが多い。そんな場所なのです。

取材日は雨。高低差の大きな山間地にハウスが並んでいる。

そんな地理的逆境に負けず、敷地内にガラスやビニル製のハウスを建て、栽培面積50a。夫婦2人で栽培を続けてきましたが、ここ数年は規模縮小を図りながら出荷を続けています。

「掛合は、高齢化と過疎化が同時に進んで、雇用がとても難しい地域です。そして私も70歳を超えました。2人で無理なく栽培を続けるにはどうすればいいのか。無駄なコストや作業をどんどん削ってきました」
根っから研究熱心で、これまで独自の品種や栽培方法を編み出してこられた別木さんに、超シンプル、しかも高品質な花を育てる栽培法の極意を伝授していただきました。

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