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第39回花卉懇談会フォーラム~新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方~

公開日:2024.4.4

2024年2月23日、表題のフォーラムが東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催された。「新しい園芸植物の伝え方・使い方・作り方」のテーマのもと、第一線で活躍する業界関係者3人が登壇。その内容をお伝えする。

花を楽しむイノベーション
新たな魅力を伝えるために

(株)樹芸 専務取締役・日本ダリア会理事 山口まり氏

私はフラワーデザイン、生け花、グリーンコーディネーター、そして貸し鉢業を通して花の魅力を伝えている。

ダリアのブリーダーをしていた父を持ち、植物が身近にある環境で育ったため、自然とこの道を選んだ。千葉大学園芸学部を卒業後、盆栽雑誌の編集部に勤務。ここで盆栽の銘品に触れ、年配の方だけの趣味ではない盆栽の魅力を再発見する機会に恵まれた。今でも盆栽は園芸の最高峰だと感じている。とくに鉢と植物の組み合わせ「鉢合わせ」は、どんなに立派な盆栽でもその鉢との組み合わせが良くなければ盆栽の魅力を活かせないと学んだため、現在でも鉢のコーディネートには細心の注意を払うことにしている。そして下草による季節や風景の演出の重要性に気づいたことも大きかった。この時期に様々な業界関係者との出会いを通し、学んだことは貴重な財産で、今の仕事に大きく影響している。

現在、自宅の庭で当地(千葉県柏市)の気候に合った盆栽・山野草の栽培管理を実践中だ。教室やイベントなどで花の魅力を伝えているが、その際、感じるのは、参加者が植物、品種、栽培・管理方法など、多くのことを「知らない」ことだ。そんなときは自身の実践栽培を通した様々な体験を伝え、「なぜ」「どうして」そうなるかを丁寧に伝えることにしている。

そして今、力を注いでいるのがダリアの啓発だ。ブリーダーをしていた父の影響もあり、ダリアの発展・普及を目的にダリアを文化として発信するため、「日本ダリア会」の事務局を引き受け、活動している。江戸時代にわが国に伝播し、明治・大正時代には大人気だったダリアだが、住環境などの変化により1970年代に人気が低迷した。1921年に設立された日本ダリア会も活動休止に追い込まれたが、1990年半ばに発表された黒いダリア「黒蝶」がブームとなり、ダリアの人気が再燃。その頃、日本ダリア会も復活した。会員は育種家、生産者、種苗会社、市場など多岐にわたり、展示会・講習会を開いたり、会報を発行したりしている。

かつては日持ち性の低さが難点とされたダリアだが、農研機構により日持ち性の高いダリアが開発されるなど注目・人気ともに上り調子である。年に1回の展示会や勉強会の開催、無病苗の普及など、現在、会員のスキル向上に努めている。ダリアのさらなるメジャー化を狙い、一層活動に力を注いでいきたい。日本ダリア会への入会はいつでも大歓迎だ。

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