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粗皮削り、バンド誘殺

公開日:2019.2.21

病害虫の被害を回避ないし軽減することを目的にして行う作物の栽培管理を耕種的防除という。病害虫の伝染源や発生源を除去して、病害虫密度を低下させることは重要な耕種的防除法である。その方法の1つとして果樹栽培では、粗皮削りと誘殺バンドの巻き付けがある。

粗皮削り

樹幹の表皮を樹皮と言い、表皮の一番内側にあるコルク組織を境にして外側を外樹皮(または粗皮)、内側を内樹皮(または甘皮)と呼ぶ。

外樹皮は枯死した組織であり、幹の肥大にともない裂け目が生じて隙間ができ、害虫や病原菌の越冬場所になる。病害虫の越冬場所になる粗皮を削り取る作業を粗皮削りまたは粗皮剥ぎと言い、落葉果樹を対象にして冬季に行う。鎌で削り取るか、高圧洗浄機の高圧水流で剥ぎ取る。削りくずは集めて焼却するか、土中の深くに埋める。

手動の粗皮削り器には横斧の手斧の形をした専用の削り器、またはねじり鎌などの草削り器を用いる。動力の粗皮削り機には、高圧水流で粗皮を剥ぐ高水圧粗皮剥ぎ(削り)機(バークストリッパーとも言う)がある。

粗皮間隙を越冬場所にする害虫には、幼虫で越冬するカキミガ、ハマキムシ類、ヒメコスカシバ、カキノキマダラメイガ、ナシヒメシンクイなど、成虫と幼虫で越冬するカイガラムシ類、成虫で越冬するアザミウマ類とハダニ類、卵で越冬するクワコナカイガラムシなどがある。また枝幹にはイラガ類がまゆを作って越冬する。

粗皮を越冬場所にして伝染源となる主な病原菌には、炭そ病、黒星病、キウイフルーツ果実軟腐病などがある。うどんこ病菌は枝幹で越冬する。

バンド誘殺

わら、縄、むしろ、布、紙などを40㎝前後の幅にして秋季に樹幹に巻き付け、この巻き付け部に越冬場所を求めて下方に降りてくる害虫を潜入させ、早春にこれらの巻き付け材を集めて焼却して害虫を殺す方法を、バンド誘殺、誘殺バンドの巻き付けまたはバンドトラップと言う。

この方法は果樹の害虫防除法として、リンゴ樹やナシ樹のナミハダニ、ナシヒメシンクイ、クワコナカイガラムシ、カキ樹でのカイガラムシ類、カキノヘタムシガ、アザミウマ類、ブドウ樹でのカイガラムシ類、ハダニ類、アザミウマ類などの防除に利用されている。

マツカレハの幼虫(マツケムシ)を防除するために公園や庭園の松にむしろを巻き付けたこも巻は、冬の景観として広く知られており、こも巻がバンド誘殺の代名詞のようになっている。しかし、バンド誘殺は害虫よりもクモや益虫を殺すことが多いことも明らかになり、公園などでのこも巻は中止されている例も多い。

『農耕と園藝』2015年1月号より転載

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