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目傷、芽傷、ノッチング

公開日:2019.2.22 更新日: 2019.6.10

樹木の主幹や枝にある側芽の発芽や生長を制御するために、その側芽の上方または下方の樹皮に木質部に達する程度につける深い傷を目傷または芽傷あるいはノッチングと言う。目傷を入れる処理は一般には休眠期に行う。

目傷処理をすると養分の通路である師管を切断するので、養分や植物ホルモンの流れを一時的に停止させる。目傷の位置が芽の上と下とではその効果が異なる。

目傷の位置と効果

側芽の上方での目傷は茎頂から流入する植物ホルモンのオーキシンを一時的に停止させるので、その芽は頂芽優勢の支配から解放されて、発芽伸長が促進される。

側芽の下方での目傷は光合成の同化産物の下方への流れを止めて芽へ流入させ、その芽の充実を図って花芽ヘと誘導する。

目傷は軸と直角になる一の字型ないし逆V字や逆U字型につける。処理には専用の芽傷はさみやレーベせん定鋏、カッター、金切のこぎり、のみ、ナイフなどを用いる。

芽の上方での目傷処理は、休眠芽の発芽と伸長を促進する目的で多くの果樹で行われる。

ブドウの主枝延長枝では、先端部以外の芽は不発芽や発芽の遅れが生じて発芽揃いが悪く、この発芽不良を芽が飛ぶと言い、芽飛びを防ぐ対策として目傷処理が行われる。特に大粒系品種(巨峰、ピオーネ、安芸クイーンなど)の枝において、また長く伸ばした枝において頂芽優勢が強く現れて、腋芽の発芽が抑えられるので、芽飛び対策が必要になる。2月下旬から3月上旬の樹液が流動する前に、先端部の2〜3芽以外のすべての芽に対して幅5〜10㎜、深さ2㎜程度の目傷を入れる。

リンゴやスイートチェリーでは定植した幼木に多くの側枝を発生させる意図で、目傷処理を行う。植物成長調整剤のビーエー液剤の散布と併用すると発芽効果が高い。

ナシやスモモでは年数を経た側枝を更新するために、その側枝基部に目傷処理し、新梢を発生させて、これを新しい側枝に仕立てる。

鱗茎でのノッチング

樹木以外で用いられる目傷入れに、鱗茎での人為繁殖法としてのノッチングがある。鱗茎の底盤部から球根の高さの半分までに切り目を放射状に入れて栽培し、子球の形成を促して繁殖体を得る方法はノッチングと言う。自然分球で増えにくいヒヤシンスやヒガンバナの鱗茎の繁殖法として用いられる。傷付けが鱗茎の頂芽優勢を抑えて鱗片葉基部の腋芽を発芽させると考えられる。

タラの芽と目傷入れ

目傷入れを極端に行えば、芽の上で主幹や枝を切断することになる。この方法ですべての腋芽を頂芽優勢から解放して栽培が成り立っているのがタラの芽の栽培である。タラの芽の促成栽培では、腋芽を1芽つけて幹を輪切りにし、各輪切り片の腋芽を独立した頂芽のように生長させている。

『農耕と園藝』2015年2月号より転載

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