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樹液流動、出液

公開日:2019.3.7

樹木の根が水を吸い、その水を葉から蒸散する時、樹幹を上昇する水の流れが生じる。この樹幹内の水の流れを樹液流あるいは樹液流動と言う。

樹液流動を引き起こす駆動力は蒸散によって誘導される負圧である。したがって落葉広葉樹では、休眠期には落葉しているので樹液流動は起こらないと言える。しかし落葉樹木内の水の移動は萌芽や発蕾よりも早い時期から再開されており、この萌芽前の樹液流動は、正圧になっている根圧と、休眠枝とその組織表面のクチクラ層からのわずかな蒸散が引き起こす負圧とが合わさって駆動力となっている。

樹液流動が早い時期から始まる樹種としては、カエデ科の樹木、シラカバ、落葉果樹ではクルミ類、つる性のマタタビ、キウイフルーツ、ブドウなどがよく知られている。

出液水の利用

萌芽前から萌芽期にかけて、落葉樹の枝を切るとその切り口から樹液が滴るようになる。この現象を出液といい、その樹液を出液水と呼ぶ。樹木に穴をあけ、その穴へ挿入したチューブを通して出液水を、またつるなら切り口をビンなどの容器に誘導して出液水を採取することがある。カエデ類の出液水は、煮詰めてメープルシロップや楓糖に加工する。シラカバ樹液は飲料に、ブドウやマタタビからの出液水は化粧水として利用される。

樹液流動と栽培管理

ブドウは土壌中の水分を十分に吸収して、樹体に水分が満たされた後に発芽を迎える。したがって、樹液流動が順調に進行して、せん定した切り口から出液が見られるようになることを栽培管理上の重要な指標とし、この時期を、樹に水が揚がる、あるいは水揚げが行われると表現する。ハウス栽培では地温を上げ、すべての樹の水揚げを確認した後に、加温を開始する。

樹液流動との関係で樹木の管理作業が限定されている場合がある。その例を以下に挙げる。

落葉果樹のせん定時期が遅れると、切り口からの出液が大となるが、これによる負の影響は萌芽が少し遅れる程度であり、実害はないとされる。実際には切り口からの出液が少なく、切り口が早くに固まるように、せん定は萌芽前に完了させることが望ましい。

落葉樹の枝挿しは休眠枝挿しと言い、1〜2月に採穂したものを冷蔵庫などに保存しておいて、3月中下旬に挿す。挿し時期の適期に挿し穂を採ると、その時期には樹液の流動が始まっているため、発根よりも芽の発芽と伸長が優先されるので、活着が劣る。

林木の生育管理における枝打ち作業は、樹液の流動時期に行うと、切り取った枝の部分からしみが入り、材に模様ができるボタン材になるので、この時期を避けた10月から3月末までに行う。

桧皮の採取は4月から7月までの樹液の流動時期を避けて行う。

『農耕と園藝』2015年4月号より転載

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