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糖酸比

公開日:2019.3.21 更新日: 2019.6.10

果実の成熟度を示す指標として果実汁の糖度と酸度を計り、糖度の値を酸度の値で割った値(比)を求める時、これを糖酸比と言う。一般に果実が成育している時には、果実中の酸は減少して、糖は増加するが、両者の比率が適切になって適熟果となると、風味が増し食味が良好になる。したがって適熟果の示す糖酸比は果実のおいしさを客観的に表す食味の指標の1つとして用いることができる。しかし、糖酸比は単に糖度の値を酸度の値で除した数値であるので、糖度と酸度がともに低い値であるか、あるいはともに高い値であれば、同じような数値になるので、糖酸比の数値だけで良食味を判定するには注意を払う必要がある。

おいしい果実の目安を糖酸比の数値で示すと、ミカンは10〜14、ブドウ30以上、リンゴは30〜40、ナシは15以上、モモは13以上とされている。特にリンゴ果実では糖酸比と食味との関係を重視して、この値が30〜40であればおいしいとして、この時の食味を特に甘酸適和(かんさんてきわ)であると言う。この値より糖酸比が低ければ酸っぱく、 高ければ甘いと表現される。 食味上からリンゴの品種を分けると、糖酸比41以上を甘味種、30〜40を甘酸適和種、29以下を酸味種と言う。千秋、王林、つがる、シナノスイートは甘味種に、秋映、シナノゴールド、ふじ、 ジョナゴールドは甘酸適和種、紅玉は酸味種になる。このように糖酸比は種で異なり、さらに同じ種でも品種で異なる。また収穫年の天候や成育状況などによっても変動する。

糖度はしょ糖液を基準にした濃度別の目盛りが付いている屈折式糖度計の指示値で表し、溶液中の固形物濃度(重量%)を示し、Brix(%)とも言う。光センサーと呼ぶ非破壊検査装置で果実の糖度を計測する場合は、果実に照射した光と、果実内部から戻ってくる光を対比して、糖度を測定する。近赤外域の特定波長の光は、糖に関連する物質に吸収される性質があるので、その近赤外光を果実に照射し、光が吸収される度合いを調べて糖度を推定する。

酸度は有機酸の含有率であり、 一般にはアルカリによる中和滴定法に基づく総酸濃度を測定し、滴定酸度で表す。すなわち測定対象となる試料液をアルカリ溶液で中和し、中和に必要なアルカリ溶液の分量で酸度(重量%)を求める。携帯型の酸度計もあるが、 試料のpHを測定し、それを酸の濃度に換算する方式と、まったく別の原理に基づいて電気化学的に測定する方式とがある。

糖酸比の報告例の多くは糖度計と中和滴定法によって得られた糖度と酸度の値を基に計算している。その他の測定法で得られる測定値からの糖酸比も、ほぼ同じである。

『農耕と園藝』2015年7月号より転載

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