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果樹の大苗育苗

公開日:2019.4.4

主要果樹では、栽培品種の枝や芽を穂木にして台木に接ぎ木し、接ぎ穂の新梢を育て、秋の休眠期に掘り上げて、1年生の苗にする。この苗は側枝の少ない棒状の主茎からなり、棒苗と呼ばれる。棒苗を翌年に生育させた2年生苗も生産される。市販の普通苗は頂部を切り詰め、樹高1m前後にした1、2年生苗である。2、3年生以上の苗木は樹高を1・8m前後に調整し、大苗として流通する。特別な大苗としては、樹高3〜5mの長大な2年生苗が果樹産地内で作られる。この大苗は超大苗あるいは長大大苗と呼ぶべきものであろう。この超大苗を生産するシステムを果樹の大苗育苗といい、その苗を生産する施設を大苗工場と呼ぶ。大苗を必要とする果樹の仕立て法に、ナシの樹体ジョイント仕立て、およびナシの流線型仕立て法があり、ナシ以外の落葉果樹の仕立て法としても採用されている。

樹体ジョイント仕立て

大苗の主枝を一方向へ延長し、先端部を隣接樹の主幹肩部へ接ぎ木して連結し、複数樹を直線状につないだ樹形にする。定植した苗の主茎を水平に誘引した時に、主茎先端は隣接した苗木に達しなければならない。主幹1・6m高の苗木を、株間1・5〜2mで定植する時、ナシ棚の高さが1・8mであれば、苗木の主茎長は3・3〜4mが必要となる。慣行のナシ棚仕立てでは、主幹から主枝を4方向に配置するのに対して、ジョイント仕立てでは1本の主枝を1方向に配置するので、面積当たりの苗木本数は慣行の仕立て方よりも4倍量を必要とする。新梢を長大に伸ばすには、特別な新梢管理を行う。培養土量が10〜25Lの鉢に1年生の普通苗を植え、地上1・2mの前後の高さで切り返し剪定して、発芽させた1〜2本の新梢を支柱に沿わせて直立に伸長させる。6月下旬以降に新梢の伸びが一時的に止まる生長休止期(夏休眠)に入ると、新梢の先端では葉が密生して節間が狭まった状態になるので、これを摘心して、腋芽から新梢を再生させ、茎を更新する。8月下旬までは生長休止が起こるたびに摘心を繰り返し行う。また新梢の芽の基部にジベレリンペースト剤を塗布すると伸長を促すことができる。

ナシ流線型仕立て

主茎長が5mを超える一本立ちの大苗を株間2・5mの間隔で45〜60度に傾けて定植する。主茎が5mの長さは、慣行のナシ棚仕立てにおける主枝2本に相当するので、面積当たりの苗木本数は慣行の4本仕立ての2倍量を必要とする。この大苗の生産には2年間を当て、1年目は1本の新梢を直立させて2m以上の主茎にし、翌2年目は主茎を45度に倒して誘引。2年生の主茎から新梢を直立させて伸ばし、2年生と今年枝を合わせて主茎長が5m超の大苗にする。

『農耕と園藝』2018年8月号より転載

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