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なるほど園芸用語

曙斑

公開日:2019.4.11

葉に白色や黄色く色抜けした部分があるものを斑入りという。葉に斑が入る原因の多くは、葉緑体が持っている遺伝子に変異が生じて、クロロフィルの合成(蓄積)ができなくなり、変異した葉緑体部分が白、もしくは黄色く色抜けするためである。

日本原産の植物や日本に渡来した植物を原種として、江戸時代以降に特異的に発展した観賞用の園芸植物群を古典園芸植物というが、この植物では斑入りや葉の形の極端な変形を柄物と称して珍重し、この変化を葉芸と評価して鑑賞した。斑の形態は種類が多く、斑の名称も植物の種類によっていろいろな呼び方がある。出葉時の斑は明瞭であっても、成熟葉になると不鮮明になる特異的な斑があり、この斑の消失現象を後のち暗ぐらみという。逆に生育の後期になると鮮明になる斑もあり、これを後のち冴ざえという。後暗みの斑の代表的なものに、曙斑がある。

曙斑は新芽が伸びる時、白や黄色のうぶ斑として現れ、葉の生長にともなって地色の緑色に変化する性質を示す斑をいう。曙は斑の色を表現しているのではなく、斑入りの状態が時間とともに変化する様子を意味し、夜明けに似ていることに由来している。曙斑は、遺伝学的にはヴィレッセンスと呼ばれ、葉緑体の発達が遅いため葉の伸長に追いつかない変異とされる。

葉の中央にある葉脈に対して、斑が直角に交わるように帯状に現れる斑入りを虎斑という。虎斑は後暗みになる場合が多く、これは曙虎斑と呼ぶ。同様の斑入りには稲のゼブラと呼ぶ変異があり、夜の低温で白くなり、昼間は黄緑になるので横縞が入る。ゼブラと呼ぶ虎斑は、葉の発育過程の温度変化が大きい場合に生じる斑であり、その個体は葉緑体合成に温度依存性がある温度感受性の変異体である。

ハンゲショウは6~7月に花序に相対する葉の半分程度が白変するが、9月末までに緑色に回復する。葉の断面を見ると、表の組織は白色であるが、果実の時期になるにつれて葉緑体が出現し、遅れて葉緑素を作る。植物名は白くなる時期が雑節の半夏生の頃であること、あるいは「半化粧」の意味に由来するといわれ、別名でカタシログサ、オシロイカケ、ミツジロ(三白草)という。この白色緑変は葉緑体などの変異ではないので、生理生態的なヴィレッセントに適応ということになろう。

マタタビの葉も、6~7月に茎先に近い数枚の葉の表面が白く変化する。この葉は芽吹きの頃は緑であり、その後に白い斑紋ができ、やがて実のなる頃には、再び緑色に戻る。

『農耕と園藝』2018年9月号より転載

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