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子葉鞘

公開日:2019.4.18

種子が発芽して幼植物体に生長することを芽ばえと呼ぶ。芽ばえの最初の節における葉的器官が子葉である。子葉の数は双子葉類では普通2枚で、単子葉類では1枚である。子葉が地上に出るものを地上子葉、種子内に留まり最後まで地中にあるものを地下子葉という。中間型として胚軸が少し伸びて子葉は地上に出るがあまり展開せず、光が当たると緑色を帯びるが早いうちに子葉の養分を送出してしなびる型もある。

単子葉植物も地上子葉と地下子葉がある。単子葉植物の胚と芽ばえでは、子葉の基部が横に広がって幼芽を完全に覆う鞘状の構造を作り、幼芽を保護する役目を果たすが、この鞘を子葉鞘、鞘葉、幼葉鞘または幼芽鞘という。子葉の葉身に相当する部分は、その先端が種子内にとどまって胚乳の吸収器官として働く。鞘葉と胚乳吸収器とをつなぐ器官として糸状の首部があり、これらの3部位を合わせて1つの子葉を構成している。首部は鞘葉の頂端付近に着生している種が多いが、鞘葉の基部に着生する場合もある。後者では首部着生部位より上位の鞘葉部分は、外見上は普通葉の葉舌または托葉鞘に相当する付属物と見なされる。

なお、子葉鞘という表現ではその鞘のなかには子葉があると思われるが、実際は普通葉を展開する幼芽があるので、幼葉鞘と表現している例が多い。また子葉が胚乳の吸収器官となることは、地上子葉でも地下子葉でも単子葉植物であれば変わりはない。

イネ科植物(ライ麦、大麦、小麦、燕麦、トウモロコシなど)の穀粒には、デンプンを豊富に含む大きな貯蔵組織の内乳がある。穀粒は頴果という果実であり、この果実には1個の種子がある。種子の胚は中心に位置せず、内乳の片側についている。胚には幼芽とそれを包み込む鞘葉があり、その上下の反対側に幼根とそれを包む根鞘があり、両者の接点部位が胚軸である。胚軸部位を介して内乳に密着する楯形の部分を胚盤という。胚盤の内乳に面する表皮は吸収機能を果たすために組織的に特殊化している。この胚盤がイネ科種子の子葉と見なされるものであり、幼葉鞘と胚盤の間をつなぐ軸状の部分を中胚軸という。中胚軸はイネ科植物に限って存在する器官であり、形態学的には胚盤と子葉鞘との間の長くなった子葉節である。

したがって、イネ科種子の胚では、1個の子葉が幼葉鞘と胚盤とに分化し、機能的には幼葉鞘は保護作用、胚盤は栄養吸収作用という違った2つの働きを持ち、それにともない位置的に両者が左右に引き離され、その連結部で胚軸と合体したものが中胚軸になる。稲やトウモロコシでは深播きすると中胚軸が培地中で伸長する。発芽に際しては胚乳から吸収した養分は胚軸を中継して芽ばえの他の部分に供給される。発芽の過程が進むと子葉鞘が伸長し、次いで子葉鞘に包まれた幼芽が生長する。

『農耕と園藝』2018年10月号より転載

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