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おいしいミカンはなぜおいしいのか

公開日:2019.3.1

はじめまして。KILO808と申します。今月から、月に一度、青果店を営む友人から聞いたフルーツ関連の話題をアップしていこうと思います。

友人の飯島さんが営む青果店『むさしや』で売られているミカン。我が家では大評判。買って帰るとアッという間になくなってしまいます。「そんなに食べると、顔がミカン色になるぞ」なんて言っても、食べる手が止まらない。

なんで、子供(中二と6歳、いずれも男子)に人気があるんだろう? 飯島さんが売っているミカンについて聞いてきました。

ミカンのへたが外皮を傷つけて、そこから傷んでくるので、へたを他のミカンにあたらないよう袋に詰めてある。へたを内向きにするお店もあるそうだ。

ポイントは、もぐもぐ感

12月下旬から3月にかけて出荷される、晩生のミカンは、じょうのう(果肉の入っている袋)が厚い品種が市場を席巻するそうです。そんな時期に、じょうのうの薄い早生完熟ミカンを出荷する篤農家、産地が存在するんですって。

飯島さんのお店では、なるべくじょうのうの厚さが薄いミカンを取り扱うようにしています。

右は品種:「玉一」、左は「寿太郎」。どちらも小ぶりで濃厚な味わいの良品種だが、じょうのうの厚さは「玉一」のほうが薄い。わかるかな?

なぜならば、じょうのうが薄いと、口当たりがよいからです。じょうのうが厚くごわごわした食感ですと、ご年配の方たちには食べにくく、皮を噛み切れない子どもはいつまでも口の中でもぐもぐしなければならない。

「場合によっては、皮を口から出しますよね。それだと、本来のミカンのおいしさを届けることにはならない。」と飯島さんは言います。子どもと年配の方々が食べやすいミカンを選んで売っているその訳は、

「とくに子供には、おいしいカンキツを小さいうちから食べてもらいたいのです。将来のお客様ですからね」 なるほど! 小さい頃から、むさしやのミカンはおいしいと、すり込んでおくわけだ。

サイズは小さいものをあえて選んで仕入れているんだそうです。小さいミカンのほうが食べやすい。量もぴったりという声が、このお店のお客様には多いそうです。ロケーションや客層が違うと、好みも違うかもしれませんね。

量を食べられるのは、バランスが絶妙だから

でも、口当たりが良いだけでは、次から次へと食べてしまう理由としてはいまいち納得がいきません。食味は関係していないのでしょうか?

「『山下紅』という品種はじょうのうが薄いのだけれども、収穫直後は酸味が強い。そこで産地では貯蔵し追熟させることで酸味を抜くんだよね」

追熟するために収穫してすぐには市場に出荷しないんだそうです。消費者のために食べ頃を出荷する心配りが、ちょっと感動。

この日店頭では「紀州玉一」が売られていた。これもじょうのうの浮きがなく、ぴっちりと果肉が詰まっているミカンだった。

飯島さんは言います。「甘さだけだと飽きてしまう。飽きさせないための酸味とのバランスが、食べられる量を決めると思う。」

たしかに、甘い物って、量を食べられない。なるほど、だからうちの子ども達はあんなにぱくぱくミカンを食べるのね。納得! むいた皮の量がおいしさのバロメーターね。個人的には、酸っぱいミカンに当たってしまった場合は、日本茶をすすりながら口腔内の味覚の変化を楽しみながら食べるのも好きなんだけど……。量が食べられないか。

ということで、まだまだ、飯島さんからお聞きしたミカンの話は尽きませんでしたが、今回はこのあたりで。

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