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干されておいしくなるお・い・も

KILO808
公開日:2019.3.15

こんにちは。KILO808改め、KILO814です。月イチで野菜や果物の話題をと思っておったのですが、だま編集長から、「干し芋」のリクエストがありましたので、急遽「むさしや」さんにおじゃまして、干し芋について聞いてきました。

誠文堂新光社と干し芋

本題に入る前に、寄り道しますよ。誠文堂新光社の創業者である小川菊松は茨城県東茨城郡川根村で生まれました。干し芋生産量全国1位が茨城県なので、なにか縁がないものなのかと、創業者著「出版興亡五十年」の頁をパラパラとめくってみましたが、残念ながら干し芋の記述は見当たりませんでした。当たり前ですよね。おもわず読みふけってしまい、原稿を書く手が止まってしまいました。

「出版興亡五十年」小川菊松[著]

出版業界の隆盛を知るための一級の資料として、専門家から高い評価を受けている本書。古書店で見つけられた際はぜひともお手にとってみてください。ちなみに、筆者の先輩や上司のなかでも、とくにお世話になった方々はもれなく茨城県出身の方々でした。「ごしゃらっぺ」と怒られたものです。あ、干し芋の話題だったっぺ。

とくに高齢者と子どもにおすすめ、品種「玉豊」の干し芋

右が「玉豊」、左が「紅あかり」。美味しい干し芋は、切った断面に繊維の筋が見えないこと。また、適度に粉を吹いており、乾燥しすぎずしっとり感が見て取れる干し芋を選ぶと良いそうだ。画像の「玉豊」は購入したから時間が経っており、乾燥しすぎている。

飯島さんのお店ではサツマイモの品種「玉豊(たまゆたか)」の干し芋を販売しています。この「玉豊」という品種は、かつては水芋と呼ばれるほど水分が多く、焼いても蒸かしてもイマイチ。干し芋にするためにある品種だと言っても過言ではないとのこと。応用の利かない奴だと思うなかれ。この「玉豊」は、いったん干されると、他の追随を許さないぐらい、干し芋のトップエリートに変貌するのです。やるな、タマちゃん。

色はくすんだ灰色、というかねずみ色。購入時はもう少し弾力があった。開封後は早めに食べておきたい。
おもわずマクロレンズを引っ張り出してきて撮影してみました。

そんな「玉豊」の食べ物としての特徴ですが、飯島さんによると「お客さんからは、歯に付きにくいので、他の干し芋よりも食べやすい」と好評なんだそうです。また、舌先に絡みつくような甘みではなく、素朴な甘みが人気の秘密。「『玉豊』は茨城県内でもとくに東海村地域での消費量が多いんだよね」とむさしやの飯島さんからの豆知識予備校。ほんト~カイな(笑。

干し芋界のビューティークイーン「紅はるか」

しっとりとしている「紅はるか」。新鮮なので、照りツヤよく、おいしそう。

「玉豊」をこだわりのマイナー品種に追いやった、生産量を誇る品種「紅はるか」を使った干し芋は、封を開けたとたんサツマイモのやさしい甘い香りが漂い、幸福感がマックスに。色も照り、ツヤともに申し分ない黄金色。見た目では「紅はるか」の圧勝です。触ると、ぺたぺたして甘みが指先から伝わってきます。「玉豊」よりも粘度が高く、食感はネットリとしています。飲み込まれるのを抗うように、噛みしめた歯に絡みつきます。前歯でポールダンスをする「紅はるか」さん、なのです。この食感は好みが分かれるところ。私は好き。

左「紅あかり」、右は鹿児島県産「安納芋」。オレンジがかった色味。マンゴーみたいでこれまた美味しそう。品種のバリエーションも意外と多く、干し芋は手軽に楽しめるスイーツだ。

干し芋マニアになりたいのなら、丸干しよ熱く美味を語れ

丸干し芋。ここにたどり着けば、あなたも「干し芋」マニア。検索すると、干し芋マニアの存在に気づかされる。みんな好きなんだなぁ、干し芋。

取材したのが3月上旬。むさしやさんでの干し芋取り扱いのシーズンラストでした。「ラストを飾るのはコレ!」といって飯島さんが冷蔵庫から出してきたのが、品種「いずみ」の丸干し芋。若干、置き場所を間違えると、モザイクが入りそうな形状なのであります(コラ!)。その野趣あふれる形状がいいのです。短冊状に切られた干し芋とは、また違った食感が楽しめます。表面から中心にむかって甘みがグラデーション状に強くなる。まるまる一本たべる至福の時。干し芋がこんな奥深い食べ物だとは気づかなかった。「本当に干し芋が好きな人は、丸干し芋にたどり着くよね」と飯島さん。いやこれは本当に美味しい!!

トースターで炙ってみた

炙った後の干し芋。「玉豊」は焼き肉のようになっていて、これはこれで美味しそう。右は「紅あかり」。焼き色もおいしそう。食べ残しを冷蔵庫で保存し、約12時間後に食べてみたところ、香ばしさはそのままに、舌先に残る甘みもマイルドになったように感じた。ストーブであぶれるので「玉豊」が選ぶ方も。「紅あかり」は表面のべたつきが強く、炙っているとくっついてしまうんだそうです。

「玉豊」と「紅はるか」をトースターで炙って食べてみました。炙った後の色が、また食欲をそそります。「玉豊」は、香ばしく、甘さはマイルド。口の中で甘みを探す楽しさがあります。歯切れ良く、繊維もじゃませず、美味しく頂けます。たしかに歯に付きません。画像のものは、私が撮影用にストックして置いたものを、家族が勝手に開封し食べてしまい、保存状態が乾燥しすぎてます。粉も吹きすぎ。ひょっとしたら、炙りではなく蒸かしだと、乾燥しすぎた干し芋が食べやすくなるのかも知れません。他方、炙った『紅はるか』は、さらに水分が蒸発し、濃厚な甘みに。ネットリとした食感は変わらず。ん、食後に甘みがくどく残るような気がします。これは食べる人の個人差や製造方法、商品によって違うのかも知れません。

ということで、平成最後、干し芋シーズンラスト間際ですが、みなさんもぜひ干し芋を食べ比べてみて下さい。

次回はまた違うネタで!

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