農耕と園藝 online カルチべ

生産から流通まで、
農家によりそうWEBサイト

カルチべ取材班 現場参上

世界のフルーツ最新事情を追え! フルーツロジスティカ2019

公開日:2019.3.25 更新日: 2019.3.27
ベルリン郊外の国際展示場、「メッセベルリン」にて2月6〜8日に開催。

「三好さん、ベルリン行ってみない? 世界一のフルーツの見本市があるんだ」

そんなひと声に誘われて、いきなりドイツのベルリンへ行くことになりました。その名も「フルーツロジスティカ2019」。今年2月6日〜8日、ベルリン郊外の「メッセベルリン」で開催。ちょうど日本の幕張メッセや有明の国際展示場のような場所です。

会期中、世界90ヵ国3200の企業や団体が出展。135ヵ国から7万8000人が来場し、食品バイヤーや購買担当者が商談を繰り広げていました。広大な会場では、巨大なブースにカラフルなフルーツや野菜が展示されていて、初日は出店者の多さ、会場の大きさに圧倒されてしまいました。

ニュージーランド生まれのJAZZ APPLE。世界の産地を結び、一年中供給。

会場でどぎまぎしている私に、「ハーイ!」と明るく声をかけ、試食をすすめてくれたのは、ブルーのポロシャツの胸に「JAZZ」のロゴマークと笑顔が眩しいお兄さん。JAZZというのは音楽ではなく、ニュージーランド生まれのリンゴ。「サイフレッシュ(Scifresh)」という品種で、「JAZZ」という商標で世界に向けて販売されています。

赤に黄色が混じった果皮、ちょっと小ぶりなそのリンゴは、酸味が強く、シャリシャリと食感も心地よいのでした。JAZZのリンゴは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、スイス、オーストリア、ドイツで栽培中。ニュージーランドのENZA社とライセンス契約を結んだ生産者だけが栽培許可を得ていて、北半球と南半球の産地を結び、一年中供給可能な体制を築いているそうです。

「だからいつでも、新鮮でおいしいリンゴが食べられますよ」と自信満々。

世界中の産地をネットワークで結び、同じ品種をいつでも大量に供給できるJAZZ。一方、青森、長野、岩手等、産地ごとに異なる品種を次々打ち出して、国内で凌ぎを削り合う日本のリンゴ界とは、えらく違うのだな。とにかく優れた品種を海外へ打ち出す時、ライセンス契約は不可欠になっているようです。

日本でも栽培されているピンクレディーのブースは、ひときわ目立っていた。

たくさんリンゴのブースがある中で、ひときわ目立っていたのが、日本でも出回っている「ピンクレディー」。ブースでは商談に花が咲いている様子。品種はオーストラリア生まれの「クリスプピンク」で、商標「ピンクレディー」と呼ばれるこのリンゴは、日本にも上陸。「日本ピンクレディー協会」の会員でなければ栽培できません。同協会のHPによれば、現在長野県を中心に44名の生産者が栽培中。特定の品種を世界中で栽培するグローバル化の波は、日本にも届いているのです。

この他にも会場でいろんなリンゴを見かけました。

会場で見かけるリンゴは、いずれもポケットに入るサイズ。

いずこのブースでも展示されているリンゴは、みんな小ぶりで横向きに箱詰めされているのです。日本とどこか違うかも。ベルリン在住の知人によれば、「リンゴは食後のジュース代わり。ふだんポケットに入るサイズが普通で、日本のように大きなリンゴをカットしてみんなでシェアしたり、高級品として人に贈る習慣はありません」とのこと。ところ変われば、リンゴをめぐる食文化も変わるんですね。

では、日本のリンゴはどうでしょう?

日本から出展したGLO-berry Japanチーム。リンゴやイチゴ、セミドライブドウの試食は好評。
団長の伊東さんは、日本酒を酌み交わしながら商談。これがヨーロッパの展示会。

はい。こちらが日本からの出展ブース。青果物の流通と輸出を手がけるGLO-berry Japan(グローベリージャパン)㈱、金沢市青果店を経営する㈱フルーツむらはた、岩手県盛岡市でベリーやリンゴを栽培する㈲サンファーム、長野県東御市でブドウの栽培と加工を手がける㈱秀果園からなる合同チームが参加していました。

ここでは、岩手県産のふじ、シナノゴールド、こうこう、王林のほか、宮城県産紅ほっぺ、とちおとめ、秀果園のセミドライブドウを展示。ユーロサイズに目が慣れると、日本のリンゴがひときわ大きく映ります。蜜入りリンゴも珍しいようで、試食用のサンプルは切った側からなくなっていくのでした。

会期中、いずこのブースでもワインやビールを酌み交わし、商談を進めるのが欧州スタイル。アルコール抜きに真面目にビジネスを進めようとする日本の展示会とは、かなり趣が違います。GLO-berry Japan㈱社長の伊東さんは、「とにかく相手とコミュニケーションが大事」と、日本酒を酌み交わしながら、ブースを訪れる人に日本のフルーツの魅力を力説していました。

大規模で華やかなEU諸国のブースに比べ、アウェイ感が否めない日本のブースは、規模も小さく会場の奥まったところに位置しています。それでも、持参したお猪口に注いだ冷酒を注ぎ、試食をすすめる「GLO-berry チーム」。来場者との会話と笑顔が絶えず、アジア圏のブースの中でもひときわ活気に満ちていました。自国のフルーツの魅力を、海外の方に向けて直に伝えていくことが、大事なんですね。

会場では、ひときわ大きく見える岩手県産のリンゴたち。

今回私をベルリンに誘ってくださった伊東さんは、サンファームの吉田聡さんと一緒に3年前から「フルーツロジスティカ」に出展。世界各国の来場者の反応をじかに受け止めながら、ヨーロッパ輸出への道を探ってきました。

我々がベルリンに入る前に訪れたパリのランギス市場で、スペインから北欧まで、トラックでヨーロッパ中のフルーツが続々と入ってくる様子を目の当たりにしました。国境に海がないってすばらしい。海と大陸を越えなければ、ヨーロッパに届かない日本のフルーツ輸出は、ロットや世界認証、保存方法等、越えなければならないハードルがいくつもあります。

グローベリージャパン㈱、㈱フルーツむらはた、㈲サンファーム、㈱秀果園の4社で日本産フルーツの魅力を伝えた。

それでも「日本のフルーツの品質の高さ、他国産にはない魅力を伝えることができたと思う。まずフランスのトップシェフやパティシエに使ってほしい」と伊東さん。少しずつEU輸出の糸口が見えてきたようです。

品種や流通のグローバル化が進む中、はるばる9000キロ彼方のベルリンへ。世界のフルーツの潮流やトレンドを学びつつ、日本のフルーツへの評価をダイレクトに感じられる「フルーツロジスティカ」。

日本が独自に育んだ品種や果実の特性をフルに生かし、いかに世界の表舞台へ打って出るか——。多国籍企業ぞろいのフルーツ見本市に、日本の企業と生産者の合同チームが出展。
「世界のフルーツの流れを知るならここ。見に行だけでも価値がある」と、吉田さん。果敢な挑戦は続きます。

文・写真/三好かやの

フルーツロジスティカ

https://www.fruitlogistica.com/

JAZZ APPLE

https://jazzapple.com/jp/

この記事をシェア