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矮性ポインセチア

公開日:2019.5.2 更新日: 2019.4.17

植物の丈が詰まって、草姿が小型になることを矮性化すると言い、短縮して矮化という。矮化した園芸植物は管理が容易になる、早熟になる、観賞性が高くなるなどの利点を持つ。矮化させる方法としては、①徒長させないように栽培管理を行う、その極端な例が盆栽である、②植物生長調節剤である矮化剤を使用する、③矮性を示す遺伝的変異個体を選別することなどが行われてきた。病害虫に罹病した植物も矮化するが、罹病個体は他の植物への伝染源になり、また矮化の安定性に難点もあり、この利用例はほとんどない。④罹病を矮化方法として利用する唯一の例が、ファイトプラズマに感染させた状態で品種として流通している鉢物用のポインセチアである。これらの品種は天狗巣症状を示し、枝分かれが豊富であり、また矮性になる。

ポインセチアの原種は樹高2〜3ⅿになる直立性の木本であり、頂芽優勢性が強いために分枝しにくい性質を持つ。この種が欧米に導入された当初は切り花用に栽培された。品種改良の手が加わり、1920年代の後半に分枝しやすい形態が現れ、樹高の低い樹姿のまとまった品種群が作り出された。この品種群はファイトプラズマに感染して誕生したとみられ、現在の鉢物用品種の先祖となって、以後の品種改良に使われた。ファイトプラズマが感染すると、直立性や頂芽優勢性がかなり弱められるが、園芸植物としての観賞価値からみると、好ましい程度に矮化し分枝の多い樹姿になった。さらにポインセチアのファイトプラズマ病は、汁液伝染はするが主たる媒介昆虫もいないこと、他の植物に感染しないことなどから、罹病していても問題なく、鉢物用観賞植物として流通している。

現在のポインセチアでは種間雑種を取り込み、苞の色や形の多様さなどの変異に富んだ新品種を創出しているが、ファイトプラズマに感染していない個体や系統が生じると、既存品種と寄せ接ぎすることで感染させた後に増殖している。品種の増殖は挿し木による栄養繁殖で行われるので、増殖された個体はファイトプラズマに罹病した状態を継続する。

鉢物ポインセチアの生産では、品種が矮性で分枝が良好であっても、栽培環境によって草姿が変わるので、わが国では摘心後10日前後に徒長防止と茎葉を堅くして草姿を整える目的で矮化剤を施用する。矮小剤にはビーナイン、ボンザイ(有効成分、パクロブトラゾール)、スミセブン(有効成分、ウニコナゾール)などを使用するが、品種によって好適な濃度が異なり、効き過ぎて開花遅れや苞の縮みが発生することがあるので、事前の検討が必要である。薬液は鉢内の用土に注入するか茎葉に散布する。

 

『農耕と園藝』2015年8月号より転載

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