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切り花の切り前

公開日:2019.5.9

切り花にする着花枝を母植物から切り取ることを採花と言い、切り花の収穫とも言う。採花する時の切り花の咲き具合を花の切り前と言い、その状態を指標で表す。単にある切り花の切り前と言う時は、その切り花の種類での最も適切な採花段階を意味する。その指標は花の種類や季節によって、また輸送手段や消費対象によって変動する。

切り前の程度を評価し判断するために、市場到着時の花の咲き具合を目安にして、切り前1から切り前6までの6段階に分けて、切り前の指標を表す方法がとられる。

切り前1:つぼみが固過ぎていずれの時期も出荷に不可な場合が多い。

切り前2:つぼみは固いが、時期、市場の好みによって出荷が可能。

切り前3:出荷適期でやや固切り。

切り前4:出荷適期で多くの種類の標準の切り前。

切り前5:出荷適期でやや開きぎみ。

切り前6:開きすぎだが、時期、市場によっては出荷可能な場合もある。

出荷適期とみなされる主要切り花の切り前の状態を例示すると、アルストロメリアでは花蕾の開花状態が4〜5輪開花、トルコギキョウでは3〜4輪開花、ガーベラでは花弁の外側から2列目の筒状花の花粉が放出される状態、チューリップではつぼみが半分着色、ユリでは第一花蕾が着色した時とされる。

家庭消費向けの切り花では、購入後に少なくとも1週間は観賞できる程度に観賞期間が長いことが望ましいとされ、つぼみが固い段階の切り前で採取する固切りが行われる。すなわち切り前2の指標で採花される。一方、贈答用や仕事花用としての需要では、購入時には観賞できるように開花していることが望ましいので、つぼみが開いた段階の切り前である緩切りが望ましい。すなわち切り前4ないし5の指標で採花される。切り花の需要が主に家庭での消費にあるオランダでは、切り花の切り前はかなりの固切りであり、贈答用や仕事花用としての需要が多い日本では緩切りである。

切り前の早晩は切り花の日持ち性に強く影響する。一般に早過ぎる切り前では萎れやすく花色の発色が不十分であったり、つぼみが開花せずに日持ちが終了したりする。一方遅過ぎると早くに老化する。消費段階でつぼみからでも正常に開花する種類であれば、切り前を早くし、つぼみ段階で収穫するほうが輸送中の傷みが少なく、切り花の老化を促進するエチレン感受性も低い。

なお、用語「切り前」は切る前を意味していない。動詞「切る」の連用形「切り」とそれに付く「前」の語から成り、この場合の「前」は動詞「切る」に相当する部分や分量を示すとされるので、「切り前」は切られる部分の状態を示している用語である。

『農耕と園藝』2015年9月号より転載

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