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なるほど園芸用語

輪物とスプレー咲き

公開日:2019.6.6

花のついた茎とその茎への花のつき方を植物形態では花序と言う。園芸用語では花の集合した茎を花房と言う。花序が形態の様式を重視するのに対して、花房は発生と発達に着目して用いることが多い。すなわち、花房の発生順位から第1花房、第2花房などと呼び、分化位置からは頂花房、腋花房と呼ぶ。花が結実して果実になると、花房は果房と表現する。なお、植物学では花房という用語は用いない。

輪物 キク、カーネーションおよびバラの切り花栽培では、大輪や中輪の花をつける品種を用いて一茎一花に仕立て、1本の主茎に1輪の花を咲かせる。この生産品を輪物と呼ぶ。キクでは特に輪菊と言う。

キクとカーネーションは普通に開花すると、主茎の上位数節から側枝を伸ばし、主茎および各側枝において花房を発達させて、房咲きになる。キクの花は頭状花序であるが、これを1つの花と見る時頭花と言う。開花時には頭花をつけた頂花房と腋花房が散房花序のように展開する。カーネーションも散房花序である。そのために輪物の切り花生産では、頂花蕾だけを残して腋芽と側花蕾を常に摘み取る作業が必要となる。バラでは主茎の先端に頂花をつける単生花の系統と花序軸から分枝した複数の枝に花がつく散房花序になる系統がある。切り花用バラ生産でも、側花蕾摘みや芽摘みは必要である。輪物の生産では自然の分枝性を人為的に制御して、単頂花序である単生花に仕立てるものであり、これをスタンダード仕立てと言い、用いる系統をスタンダードタイプと言う。

無側枝性 輪物生産では腋芽摘みと摘蕾に要する労力が多い。摘蕾作業を省力化するため、無側枝性と呼ぶ側枝が発達しない形質を持つ品種が育成されている。無側枝性のキクは芽なしギク、ストックやカーネーションおよびヒマワリでは無分枝系あるいは1本立ち性の呼び名で流通している。芽なしギクは30℃程度の高温条件下で育てると腋芽は分化しないが、低温下では正常に分化する。

スプレー咲き 側枝と花枝が放射状に配置されて、各枝が揃って開花する性質をスプレー咲きと名付け、この形質を持つ品種をスプレータイプと言う。スプレータイプの栽培では腋芽摘みなどが必要なくなる。またスプレー咲き花きは輪物に比べて花色や形の豊富さ、枝ぶりの良さ、量感と華やかさがあり、花束やアレンジメント用に需要がある。スプレータイプは種名の頭にスプレーをつけてスプレーカーネーション、スプレーギク(スプレーマム)と呼ぶ。ストックでは分枝系、ヒマワリでは最初のつぼみを摘んで側枝を発生させるので分枝立ちと呼ぶ。バラでは房咲きとも言う。

『農耕と園藝』2016年1月号より転載

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