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開葯と送粉

公開日:2019.6.13

花粉が裸子植物であれば胚珠に、被子植物ではめしべの柱頭へ付着することを送粉または受粉と言い、授粉とも表現する。おしべの葯は花粉嚢とも呼ばれる葯室からなり、その内部で花粉が発育する。送粉のためには花粉が葯室の外に放出される必要があり、葯室が裂開すると花粉の放出が始まる。葯室の裂開を開葯と言う。開葯の型は縦裂と孔開が一般的である。

縦裂(葯室の側壁が縦に裂ける。アブラナ科、ユリ科、イネ科植物に見られる)。横裂(葯の頂端がめくれる。ツリフネソウ、フヨウ、トウダイグサなど。)孔開(葯室の一部に小孔が開くもの。ツツジ科の多くやナス属(ナス科)に例)。弁開(葯室の側壁の一部が弁状にはね上がる。クスノキ科やメギ科に見られる)。不規則な裂開(葯壁が不規則に裂開する。水草のイバラモ属に例)。

開葯は開放花で認められるが、スミレ属やカタバミ属などに見られる閉鎖花では葯は裂開しない。閉鎖花での花粉粒は葯室内で発芽し、花粉管が葯を破って伸長して柱頭に着く。

送粉には花粉が移動する必要があるが、この移動の動力になるものを送粉者と言い、花粉媒介者とも言う。送粉者を大別すると動物送粉、非動物送粉、自動同花送粉になる。人が送粉者として関わる場合は人工授粉と呼んで区別する。

動物送粉(動物媒)昆虫、鳥、コウモリなどの動物が送粉者になって、花粉媒介を担う場合を動物送粉と言い、媒介動物名を付して虫媒、鳥媒、コウモリ媒などと呼ぶ。送粉動物は花粉や蜜を餌として得るために花を訪れ、その際に花粉が体に付着し、柱頭にも自然に接触するために送粉する結果になる。虫媒を担う昆虫を送粉昆虫または花粉媒介昆虫と言う。

非動物送粉 風、水が媒体となって送粉される場合を非動物送粉と言い、風媒および水媒と呼ぶ。

自動同花送粉 同一の花においておしべとめしべが動いて、葯と柱頭が接触し、自家内で送粉する場合、これを自動同花送粉と言う。

人工授粉 送粉者による送粉行為を花粉媒介と言い、人が直接または間接的に花粉媒介を行う場合は人工授粉と言う。果樹や野菜を栽培して果実生産を行う場合、また作物のF1雑種の種子生産においては、花粉媒介の良否が収量に影響する。人工授粉は安定した生産を上げるために必要な作業となる。その方法には、人が花粉親の花を手に持って種子親の花へ花粉を振りかける場合、羽ほうきや梵天などを花から花へと接触させて花粉を運ぶ場合、花粉銃や動力噴霧器で花粉を花に吹き付ける場合、花粉を溶液に懸濁してハンドスプレーで散布する場合のほか、ミツバチ、マルハナバチ、マメコバチ、ハキリバチなどの訪花昆虫を放飼する場合などがある。

『農耕と園藝』2016年2月号より転載

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