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幼虫(アオムシ・イモムシ・ケムシ)

公開日:2019.6.20 更新日: 2021.4.26

幼虫 昆虫などの節足動物において、卵内の胚子が発育して孵化し、成虫とさなぎになるまでの間の発育段階にある幼生を特に幼虫と言う。

幼虫は脱皮しながら成長し、その脱皮回数で発育段階を表す。
孵化直後の幼虫は一齢幼虫、一回目の脱皮後の幼虫を二齢幼虫などと言い、成虫あるいはさなぎになる直前の幼虫は終齢幼虫とも言う。
終齢幼虫からさなぎになりその後に脱皮して成虫になる場合と、終齢幼虫から脱皮すると成虫になる種類があり、前者の発育過程を完全変態と言い、後者を不完全変態と言う。
なお、昆虫における変態とは形態と生態の異なる幼虫から成虫の世代に変わることを言う。

不完全変態を行う種の幼虫は成虫の形態と良く似ており、若虫(じゃくちゅう、わかむし、ニンフ)とも呼ぶ。
この種にはセミ、カマキリ、トンボ、バッタ、ゴキブリなどがある。

完全変態を行う種の幼虫は成体とはまったく異なった形態を示すものが多く、その特徴を示す特別な呼び名を持ち、学術用語ではないが通称名として流通している。
チョウ目のガやチョウの幼虫はイモムシ・アオムシ・ケムシ・シャクトリムシと呼び、甲虫目のカブトムシやコガネムシの幼虫はジムシと呼ぶ。

イモムシ

チョウ目・スズメガ科の幼虫を総称してイモムシと言う。

この科の幼虫は尾角という突起を持ち、終齢では体長60〜85㎜の大きな幼虫になる。
手で触れると半身を左右に回転させて身を守る。

イモムシの名はイモの葉を食う虫に由来すると考えられるが、サトイモの葉はセスジスズメ、ヤマイモはキイロスズメ、サツマイモはエビガラスズメが食う。
ビロウドスズメやコスズメの幼虫はブドウやヤブガラシの葉を、セスジスズメの幼虫はサトイモやホウセンカの葉を、ベニスズメの幼虫はマツヨイグサの葉を、オオスカシバの幼虫はクチナシの葉を、モモスズメの幼虫はモモやサクラなどの葉を食う。

アオムシは緑色のイモムシの総称である。
害虫名としてナノアオムシという場合はモンシロチョウの幼虫を指すことが多い。

ケムシ

チョウ目のガやチョウの幼虫で体に毛が生えているものを総称してケムシという。
チョウの幼虫がケムシとみなされるものはタテハチョウ科やギフチョウ類にある。

この毛は刺毛と言い、昆虫が触覚を感じる器官であり、感覚毛(触覚毛)や感覚刺毛(触覚刺毛)とも言う。
刺毛はその運動によって根元にある感覚細胞を刺激して、細胞に対する圧力の変化によって興奮を起こさせる。

この刺毛が毒毛となっている有毒な毛虫はイラガであり、その他の有毒毛虫の毒針毛は粉のように微細なものであり、長くて目立つ刺毛はいずれも無毒である。

『農耕と園藝』2016年3月号より転載

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