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高木(こうぼく)と低木(ていぼく)

公開日:2019.7.11 更新日: 2021.5.25

植物が環境に適応して生活している形態生活型と言うが、木本植物の生活型に高木と低木がある。

高木は肥大生長する針葉樹と広葉樹において、樹高が3mを超える種類を言う。高木をさらに樹高の程度から小高木、中高木、大高木に分ける場合もある。

低木は正常に生長した時の樹高が3m以下の木本植物を指す。低木を樹高から低木、矮性低木、伏臥低木に分ける場合もある。
低木は樹高3m以下(バラ、キイチゴなど)、矮性低木は樹高が50㎝以下(ツツジ、エリカなど)、伏臥低木は地面から数㎝の高さの種類(ガンコウラン、コケモモなど)を言う。

高木になるのは、単軸分枝する針葉樹のような樹種であるか、仮軸分枝する種では伸長方向の生長を引き継ぐ側枝が強勢になる種である。
この場合、1年間に生長する茎や年枝で形成される腋芽は、枝先にあるほど大型となり、また同一枝(軸)内の腋芽間の休眠が上位の側芽ほどその解除が早まる性質があるために、春の発芽伸長が上位側芽で早くなる。この現象を上位優勢または頂部優勢と言う。

一方、低木になる種では、年枝腋芽の形成部位による休眠は、上位ほど深くなり下位腋芽のほうが浅いという関係が、春の発芽時まで保たれるために、下位節の腋芽が春早くに伸長する。この現象を下位優勢または基部優勢と言う。

すなわち上位優勢を持つ種で高木になり、基部優勢を持つ種で低木になる。

高木と低木を庭木として植栽する場合は、その配置と扱いが重要になる。
植栽の上層部を占める高木は、樹種としては主幹と枝が区別できる単幹性のものが選ばれ、庭の主木になる。

樹高20m以上は大高木とも、また6m程度のものは小高木とも言う。
樹種には、アカマツ、クロマツ、スギ、ヒノキ、イヌマキ、モッコク、モチノキ、シラカシ、ヤマモモ、ケヤキ、イチョウ、サクラなどがある。

植栽の中層部を占める樹木は中木と言い、樹種は高木であって樹高の低いものが選ばれ、寄せ植えや添え植え、あるいは列植される。
樹種に、ヒバ、イヌツゲ、ウバメガシ、サザンカ、サンゴジュ、ツバキ、ヒイラギ、ウメモドキなどがある。

植栽の下層部を占めるのが低木であり、潅木とも呼ばれ、主幹と枝の区別が明確ではなく、根際から枝が叢生する。低木は中木の前に植える前付けや、主木の根元に植える根締めに用いられる。
樹種には、ツツジ、アオキ、シャクナゲ、キャラボク、ヒイラギナンテン、ハイビャクシンなどがある。

植栽された樹木の上下の位置関係からは、植栽の上部を占める樹木を上木と言い、普通は高木が選ばれる。上木の下部を占める樹木を下木と言い、中木や低木が選ばれる。

『農耕と園藝』2016年6月号より転載

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