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曖昧な小説の記憶とキュウリサンド

公開日:2019.6.12

こんにちは、だまです。
みなさんは、キュウリサンド、召し上がりますか?
今、私の中でキュウリサンドがものすごいブームになっています。

なぜマイブームになっているかというと…
おいしいキュウリサンドの存在を知ったからです(理由が単純)。

今年の2月頃、お菓子本企画の撮影中、料理研究家の先生がお昼にキュウリのサンドイッチを作ってくださいました。

「キュウリサンドか。ダメサンドだな」と思いましたが、せっかくなのでいただくことに。

それまで私の中のキュウリサンドといえば、高校生の頃読んだ小説に出てきたキュウリサンドのイメージが強く、自分としては最も残念なサンドイッチと思っていました。その小説(確か村上春樹の作品だったと思うのですが)のキュウリサンドは、本当にやるせないサンドイッチだったんです。

夫婦が別れることになり、妻が荷物を運び出した夜、夫が「冷蔵庫にあるもの」で作ったキュウリのサンドイッチ(チーズも入っていたかも)を、書類を届けに来た妻にすすめるのですが、妻は用事を済ませると「これでよかったのよね」と言い残し、キュウリサンドには手をつけず去っていくのです。結局、夜中(もしかしたら明け方だったかも)、ひとり部屋に残された彼は、自分で作ったキュウリサンドをビール(スコッチだったかも)で流し込む…という話です。当時、女子高生だった私に男女の機微はわかっていなかったと思うのですが、この悲しみにつつまれ乾いたキュウリサンドは「おそろしくまずいに違いない」と理解でき、それ以来「キュウリサンドはダメサンド」と決めつけ、キュウリだけのサンドイッチは一度も口にせず生きてきました。

しかし、撮影現場でいただいたキュウリサンドは、それはそれは上品で野菜の味わいを楽しめる大人なサンドだったのです。上質なバターの上にフレッシュなミントが散らされ、薄くスライスされたキュウリは規則正しく重なり合い、パンとミントのあいだにお行儀よくおさまっていました。

ほおばると、ほどよい塩味をまとったうすーいキュウリのしなやかな歯ごたえが楽しく、追いかけるように口のなかでミント香りが広がり……もう、キュウリとミントのハーモニーだかマリアージュだかよくわからないけど、とにかくおいしかったのです。

これは私が女子高生時代に読んだ小説に出てきたキュウリサンドではない!
記憶の中のキュウリサンドのイメージが木っ端微塵となりました。

以来、キュウリサンドのマイブームが続いています。休日には自転車に乗ってパン屋に出かけ、庭で雑草化したミントを草取りがてら刈り取ってサンドします。ミントは「これでもか!」というほど入れてやります。もう、ハーモニーとかマリアージュとかはどうでもいい、とにかくミント大盛りが好き。キュウリは薄くスライスしたほうがおいしいのはわかっていますが、園芸と同じで料理も荒々しいワタクシなのでかなり厚めにスライス。キュウリがこぼれて食べにくくても、それでよし! パンの片側にクリームチーズを挟むとリッチな味わいになりますのよ、奥様!

さあ、召し上がれ! おちょぼ口のあなただって一口でいけるサイズをご用意しましたわ。
どうだい? うちのキュウリサンドは? え、だれだぃ? キューカンバーなんてかっこつけた名で呼ぶやつぁ、おととい来やがれバカヤロー!
サンドイッチ用パンがなくても、ドイツパンにはさめばいいじゃない!(これはイマイチだった)

これからキュウリがおいしい季節がやってきます。ぜひみなさんもキューカンバってみてくださいね!
ではまた次回、ごきげんよう☆

*小説については私の記憶にあるまま記しています。実際の小説とはまったく違う話になっているかもしれません。ご了承ください。

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