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園芸害虫の蛹と擬蛹

公開日:2019.8.1 更新日: 2019.6.20

害虫の園芸植物への加害には、茎葉や果実をかじる場合や器官や組織に潜り込んで内部を摂食する食害と、口吻を組織や器官に突き刺して汁を吸う吸汁害がある。前者の食害昆虫には、完全変態のコウチュウ・ハチ類の成虫とチョウやガの幼虫が、後者の吸汁害虫にはヨコバイ・ガ・ハエ類の完全変態の成虫と、コナジラミ・カイガラムシ・アザミウマ・アブラムシ・グンバイムシ・カメムシ類などの不完全変態する若虫(幼虫)と成虫がいる。完全変態する種が害虫である場合、蛹になる前の幼虫と、蛹から羽化した成虫とでは加害する植物や方法などの食性が異なるのが一般的である。蛹の時期がない不完全変態する種では、幼虫と成虫は食草も食べ方も同じであり、園芸害虫には吸汁加害するものが多い。

昆虫では食物の摂取と咀嚼に用いる器官を口器といい、口器を構成する付属肢は特に口肢といい、大顎と小顎がある。大顎は食性に適応をした形となって、食物を噛み砕くためのペンチ状の咀嚼口式か、食物を吸い取るためのストロー状の吸汁口式になる。

硬顎蛹(こうがくよう)と軟顎蛹(なんがくよう) 蛹を分類するには、大顎の硬化の有無がその指標になる。幼虫から蛹になることを蛹化というが、蛹化した時に大顎が体から離れて硬化しているものは動くことができるので、これを硬顎蛹(または可動大顎型蛹)という。大顎は蛹期の終わりに動くようになって、羽化の際はこれで繭をかみ切ったのちに脱皮する。大顎が硬化せずに体に密着しているために動かないものを軟顎蛹(または不動大顎型蛹)という。多くの種類が軟顎蛹であり、このなかをさらに裸蛹と被蛹に分ける。
裸蛹または自由蛹 大顎以外の翅、触角、肢などが体表に固着せず、離れている蛹を言う。硬化しない付属肢や翅が体幹より離れており、かなりの運動性がある。多くのハエ目は終齢幼虫の表皮が硬化して生じた殻(囲蛹殻)のなかで蛹化するので、特に囲蛹と呼ばれる。囲蛹に対してコウチュウ目、ハチ目などの他の裸蛹を自由蛹と呼ぶ。

被蛹 付属肢がすべて体表に密着した蛹で、チョウ目に見られる。アゲハチョウのように胸部を絹糸で支える帯蛹、タテハチョウのように尾端を他のものに固着してぶら下がる垂蛹がある。
擬蛹 不完全変態の種であっても蛹に似た発育期を示すものがある。すなわち終期若虫が摂食せずに、ほとんど動かないで過ごしたのちに脱皮すると成虫になる。この終期幼虫を擬蛹と呼ぶ。園芸害虫のコナジラミ、アザミウマ、カイガラムシ類に擬蛹の時期がある。この擬蛹の発育期が認められる変態を新変態あるいは擬蛹変態と呼んでいる。

『農耕と園藝』2016年9月号より転載

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