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繭とマミー

公開日:2019.8.8 更新日: 2019.6.20

繭 幼虫が育つ生息空間で終齢幼虫から蛹になる時、蛹化する部屋を蛹室と言う。蛹室を確保するために、体からの分泌液や吐出した繊維を使って蛹室を覆うように作り上げた球形の屋根を繭と言う。繭の素材には吐出した糸やふん、土、木くず、枯れ葉などを用いる。土で作った球形の繭は土繭(つちまゆ、どまゆ、どけん)という。
蛹室を必要とする幼虫は蛹の形態では裸蛹になる種であり、蛹室を確保する場所は地中や植物体中などであり、幼虫が動いて空間を作り出す。また裸蛹は皮膚全体の硬化程度が低いので、乾燥や日射に耐えられない。したがって、終齢幼虫の多くは土中あるいは丈夫な巣や繭のなかで蛹化する。ハエ目、コウチュウ目、ハチ目の蛹はこの裸蛹に属する。繭は蛹を物理的障害から保護するのが主な機能と考えられる。
園芸害虫で繭や蛹室を作るものの例を挙げると、繭はチョウ目のアオムシ、タマナギンウワバ、ハイマダラノメイガ、コナガ、イラガなど、ハチ目のハバチ類で、土繭はコウチュウ目のハムシ類である。土中に蛹室を作るものは、チョウ目のヨトウガ類、モンクロシャチホコ、オオタバコガなど、コウチュウ目のコガネムシ類がある。

囲蛹殻 ハエ目の終齢幼虫は脱皮せず、その表皮は蛹の体表に密着したまま硬化して殻を作る。蛹の周囲を幼虫の殻で被った格好で蛹になるので囲蛹と呼び、その殻を囲蛹殻と言う。蛹自体は裸蛹であり、囲蛹殻は繭と同じ保護機能を持つと考えられる。

マミー アブラムシやコナジラミ、カイガラムシなどの害虫の捕食寄生者には寄生バチがいて、その成虫はカより小さい。アブラバチはアブラムシ類に産卵する寄生バチであり、ハチに産卵されたアブラムシはすぐには死なず、孵化した幼虫の終齢までの餌になる。終齢幼虫は寄主の外皮を裏打ちするように糸を吐いて繭を作る。アブラムシの薄い外皮は分泌液との反応で硬くなり、ハチの種類に応じた赤色から黒色に変化する。硬化したアブラムシの内部に作られた繭内でハチの幼虫は蛹になる。寄生バチの蛹化によって、寄主アブラムシが死骸状態で外観を保っている状態を「マミー」と言う。マミーはミイラを意味する。

蛹から羽化した成虫はマミーに穴を開けて脱出する。アブラムシが寄生バチの影響を受けることなく死亡すれば、外皮が薄いので外形を保つことなく塵となって消失する。葉裏にアブラムシが丸くなって乾燥状態で固着しているのは寄生バチの繭で裏打ちされたアブラムシの縫い包みであり、無色なら寄生バチの抜け殻となったマミーである。ツヤコバチはコナジラミやカイガラムシに寄生し、同様なマミーを作る。羽化前のマミーは天敵製剤として市販されている。寄生バチは寄主の内部を食べて、寄主体内の空間を確保して蛹室にしているとみなすことができる。

『農耕と園藝』2016年10月号より転載

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